「年間20隻前後、エンジンは約1000基を販売。愛知県と長崎県のマリーナ事業を除く同社のマリン部門は、年間20億円程度を売り上げています。先ごろ新型プレジャーボート『ポーナム31』を発売しましたが、この艇の年間の販売目標は15隻。価格は税抜き2970万円と一見高額ですが、このクラスのボートとしては比較的低価格です。同社の『レクサス』オーナー向けに試乗会なども開催していますが、富裕層が多いレクサスのオーナーだからといって、即ボート販売につながるわけではありません。まあ、トヨタブランドの育成につなげるという意味くらいのものでしょう」(モータージャーナリスト)
目標通りに売れたとしても、25兆円の中では確かに微々たる数字でしかない。
「国内のレジャー用ボート市場は、規模が小さいだけでなく成長性にも乏しい。船外機を手掛けるホンダも苦戦していますし、日産自動車の子会社である日産マリーンは、来年3月をメドに船艇やエンジンの販売を終了すると発表しています。マリーナなど係留施設の容量不足が解決されない限り、市場の発展は望めないでしょう」(同)
陸上の駐車場不足とは勝手が大分違うようだが、それでいて不法係留の船舶も後を絶たないという。
「対策の一環として船舶番号の表示が義務付けられましたが、国交省など当局の監視体制もまだ十分とはいえないでしょう。なかなか抜本的な解決は難しいのでは」(同)
地震の多発による津波や頻発する大型台風などで、放置船舶が“破壊兵器”になりかねないとも指摘されている。マリンスポーツが、この日本で、アラン・ドロン主演の映画『太陽がいっぱい』のような優雅なものになる日が来るとは、やはり到底思えない。