ホームレスはそこで一部屋を与えられる。一部屋四畳半の部屋にはテレビも冷暖房も完備されていた。その後に業者はホームレスの住所をその場所に移し、住民票を取らせた。さらには決められた銀行に口座を開き、印鑑と通帳は業者に取り上げられる。
そして、市役所へ生活保護の申請に行く。業者の案内で生活保護は何の問題もなく認可されるのだ。毎月生活保護支給日になると業者は銀行へ行き、一人月12万円の支給の内、ホームレスには小遣いと称し2万円だけを渡し、残りは業者が取り上げる。その中には居住費、食費、光熱費等が含まれている。
生保ビジネス業者の中には、100名を超える人間を抱える業者も存在するという。俗に彼らは囲い屋とも呼ばれ、生保ビジネスの温床となっている。生保ビジネスの業者によって、ホームレスを住まわせる場所も異なっており、中には六畳一部屋の真ん中にトタン板で仕切りを作り、二部屋にして住ませている違法な例もあるという。これらのホームレスを住ませる宿舎は、業者の国への届け出で容易に開設できる。その家賃は各自治体で上限が決められおり、名古屋市などは上限が36000円と決められている。名目上これらの業者はNPO団体を装っている例が多い。また個人でも、この施設を開設することは可能だという。
これらの生保ビジネス業者は全国に存在すると思われるが、正確な数は把握されていない。大阪市だけでも30業者は存在していることが確認されている。
さらに食料事情もそれぞれ異なり、酷い場所では月に10キロの米を一袋配っておしまいという業者も存在する。この業者は安アパートを借りてホームレスを住ませていた。
ホームレスたちの多くは、朝から酒を飲み、一日の大半をテレビを見て過ごしているイメージが強いが、そのイメージ通りに公園にホームレスとして暮らすのが良いのか、或いはこのような場所に閉じ込められて暮らすのが良いのか、筆者には判断はつかないが、彼らは年齢的にも50歳を超えた者が多く、ハローワークに出向いて仕事を探す者もいないという。
(藤原真)