「キリンホールディングス(HD)は先ごろ、3月末でキリンビール、キリンビバレッジ、協和発酵キリンの主要3子会社の社長を交代すると発表。新旧社長の名が一斉に報じられたこともあって印象は薄くなりがちですが、業界関係者は『そうか、あの男がHDの社長レースから脱落したか』と驚きを隠せません」(経済誌記者)
仰天の理由は、キリンビール時代に『一番搾り』や発泡酒『淡麗』、缶チューハイ『氷結』などの看板商品を開発し、その手腕を見込まれて3年前にキリンビバレッジへ送り込まれた前田仁社長(61)が、HDへの凱旋復帰どころか、まるで一斉交代のドサクサに紛れるようにして退任するからだ。
業績立て直しの失敗に加えライバルの後塵を拝したとあっては、HDの三宅占二社長(64)ならずとも「何が次期社長だ」と思ったとしても無理はない。
関係者が打ち明ける。
「ビールと清涼飲料では販売手法が全く違う。清涼飲料は価格の勝負以前に量の確保が絶対条件。そうしないとシェア確保できません。ビールでの成功体験を引きずる前田さんは、量よりも収益確保を優先させたことで墓穴を掘ったのでしょう」
今は個人の嗜好に沿う広告が携帯端末を通じて届くような時代だが「お茶や缶コーヒーは、結局近くのコンビニか自販機で買う。いくつも並んでいれば、宣伝が印象的なやつを選ぶ」という声が本音だろう。