「この距離がどうか」と橋口師はうなった。燃えすぎる気性。ダノンゴーゴーにとっては、1600mですらまどろっこしく感じるのだろう。
前走のNZTもそうだった。スタートをわざとゆっくり出して、道中は最後方。折り合い名人の武豊が細心の注意を払ったにもかかわらず、それでもやはり行きたがっていた。ただ、それでいて力も示している。3、4コーナーで大外を回って0秒4差。追い込みが利かず、内が止まらなかった当時の馬場状態を加味すれば、底力は相当なものだ。
確かに前々走のファルコンSは圧巻だった。小回り中京を最後方から、そして大外を回って楽々と差し切った。あの爆発力をマイル戦でも発揮できれば、ここでも十分通用するはずだ。
デキもいい。4月30日の1週前追い切りは栗東坂路で800m52秒5→38秒0→12秒7、4日にも54秒4→13秒4をマークしている。
「ラストまでしっかり動いて、脚色が乱れなかった。いい状態を保っている」と師も納得のフットワークだった。
「ファルコンSの内容から左回りはむしろいいだろうし、末脚を生かせる直線の長いコースも合っている。とにかく道中鞍上とケンカせず、タメが利けば」
自分との闘い。それを乗り越えれば、自ずと栄冠は見えてくる。
【最終追いVTR】アイアングリーン(3歳未勝利)と併せられて、中間地点から徐々に加速。最後の1Fで仕掛けられると鋭い伸びで2馬身先着を果たした。追ってからの反応も抜群で、文句なしの仕上がりだ。