海外ニュースサイト『Oddity Central』は4月22日、インド・ウッタルプラデーシュ州に住む25歳の男性が、間違った候補者に投票してしまった自分を責め、指を切断したと報じた。同記事によると、男性は投票用紙のマーク欄を誤認し、自身が支持していない候補者に投票してしまったそうだ。男性は後で間違いに気づいたが、投票後に変更はできない。インドの選挙では、二重投票を防ぐため、投票後には指に数日間落ちないインクが投票済の印として付けられる。男性は印を見るたびに自身の間違いを腹立たしく思い、自宅で自分の指を包丁で切断したという。
このニュースが世界に広がると、ネット上では「動揺しすぎ。ここまですることはない」「指を切断してもう1回投票できるようにアピールしたかったとか?」「そこまで選挙に真剣になれるのがすごい」などと驚く声が挙がっていた。
男性の行動に驚く人は多かったが、インド人にとって近年、選挙は特別なものになりつつあるようだ。
インドの有権者数は約8億3400万人と言われており、選挙はインド人にとって最大のイベントのようにも捉えられている。現代社会について解説するサイト『imidas』によると、インドには住民登録制度がく、以前は簡単に偽の人物を作り出せる環境があり、二重投票しやすかったという。しかし2004年ごろから選挙管理委員会が有権者名簿を整理し、細かくチェックすると同時に、替え玉ができないよう投票時に選挙管理委員会が立ち会うようになった。不正のない選挙が行われ、国民の選挙に対する意識も高まっているようだ。
また2004年ごろまでは、選挙権があっても文字が読めず、選挙に参加できない人も多くいた。しかし2004年以降は候補者を名前ではなく象や花などのマークで表し、文字が読めない人でも投票できるよう配慮されている。候補者もこれまでカバーしていなかった貧困エリアで積極的に政治活動を行うようになり、貧困エリアの人々も政治に参加できることに誇りを持ち始めたのだ。
特に若者の投票率の低さが懸念されている日本。反対にインドでは1票の重さを理解し、選挙に参加できることを誇りに思う人が増えている。選挙の大切さを改めて学ぶという意味では、インド人の選挙への意識が参考になる部分もあるだろう。