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球界地獄耳・関本四十四の巨人軍、ダッグアウト秘話(1)

 渡辺球団会長から原監督へ「V9超えのV10達成」指令が出ているそうだが、簡単にはV9超えなどできないよ。今シーズン、1番・坂本、2番・松本のコンビ活躍が目立っていることから、V9時代の柴田・土井コンビに匹敵するといったような声まで出ているが、まだまだ偏差値が違うよ。

 若さ、足の速さ、思い切りの良さなど、坂本と松本の2人には確かに勢いがある。が、やり手婆じゃないが、柴田さん(元巨人コーチ)、土井さん(故人=元オリックス監督)コンビのなんでもこなせるキャリア、偏差値の高さには遙かに及ばない。1番・坂本、2番・松本のコンビの査定は、まず2シーズンくらい固定されてからの話だよ。
 柴田さん、土井さんだけじゃなくて、その他にも高田さん(現ヤクルト監督)、黒江さん(現OBクラブ会長)、森さんといったくせ者がいたんだからね。元木あたりのくせ者ぶりとは役者の格が違う。この連中が試合途中まで手も足も出ない相手のエースを徹底したバント攻撃などで揺さぶり、スタミナを奪い、7回当たりで一気に試合を決めてしまう。くせ者連中がお膳立てをして、最後の出番はもちろんONですよ。
 今の他球団のエースと違い、阪神に江夏、広島には外木場、大洋(現横浜)にもあのカミソリシュートで有名な平松など、相手は超一流のエースばかりだったが、海千山千のV9メンバーにかかれば、あの手この手で攻略されてしまう。「さあ、そろそろ本気出して逆転するか」なんて声がベンチから出ると、本当に逆転勝ちしてしまうんだからね。信じられる?

 今の巨人のクリーンアップを見てもV9時代を知る正統派の巨人ファンは違和感があるだろう。焼鳥屋でいっぱいやっている年配のファンが「V9時代とは違うなあ」と、よく嘆いているよ。それはそうだろう。屋台骨を支えているのは、3番・小笠原と4番・ラミちゃん(ラミレス)だからね。日本ハムとヤクルトのスター選手を取ってきたのだから、違和感がない方がおかしいだろう
 偉大なONのような3、4番といっても無理だろうが、クリーンアップに2人は自前の選手がいないと話にならない。去年32本打った阿部がクリーンアップに一番近い存在だが、5番で活躍した亀井が今年は元の黙阿弥状態では、いつまで経っても小笠原、ラミちゃん頼みは変わらない。
 V9巨人だって他球団の主力を取ってきたじゃないかという反論があるかもしれないが、5番打者限定だからね。あのONに対しても尻に火がつくようにと、刺激剤として他球団の主力打者を獲得したピンポイント補強だ。毎年のように、東映(現日本ハム)・吉田勝豊、近鉄・関根潤三、西鉄(現西武)・田中久寿男、高倉照幸、広島・森永勝也、大洋(現横浜)・桑田武といった一流のバッターを取った。が、あくまで主役のONを油断させないための刺激剤だ。
 今の巨人は小笠原、ラミちゃんの他にもスンちゃん(李)、谷など他球団の主力を取ってきているのだから、渡辺会長とすれば、3連覇しても当然となってしまうだろう。でも、まず自前のクリーンアップを作ってからV9うんぬんを言って欲しいよね。

<関本四十四氏の略歴>
 1949年5月1日生まれ。右投、両打。糸魚川商工から1967年ドラフト10位で巨人入り。4年目の71年に新人王獲得で話題に。74年にセ・リーグの最優秀防御率投手のタイトルを獲得する。76年に太平洋クラブ(現西武)に移籍、77年から78年まで大洋(現横浜)でプレー。
 引退後は文化放送解説者、テレビ朝日のベンチレポーター。86年から91年まで巨人二軍投手コーチ。92年ラジオ日本解説者。2004年から05年まで巨人二軍投手コーチ。06年からラジオ日本解説者。球界地獄耳で知られる情報通、歯に着せぬ評論が好評だ。

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