バラエティは基本、特番でお試し放映されたのち、深夜枠でレギュラー化。高視聴率を稼ぐと、念願のゴールデン進出となる。ところが、『アメトーーク!』はそんな既成概念をぶっ壊して、まさかの“枠増加”。テレビ界に革命を起こした演出兼ゼネラルプロデューサーは、加地倫三さんだ。そんな彼が今秋、『ロンドンハーツ』、『アメトーーク!』に続いてスタートさせたのが、『※注芸人調べ』。そして、『千鳥のハンターおとも旅』だ。
ロンドンブーツ1号・2号、雨上がり決死隊に続いて、加地さんが抜てきしたのは千鳥。クセがすごい岡山弁で、幅広い層に支持されている漫才コンビだ。本拠地が関西だったころは、“関西のロケ王”として年間200本以上のロケを経験。満を持して東京進出を果たすと、初の冠番組『いろはに千鳥』がスタート。しかし、埼玉の独立地方局(テレ玉)ということもあり、1日8本撮りが当たり前という、「クセがすごい」番組だ。
キー局初の冠番組となった『千鳥のハンターおとも旅』は、○○ハンターにお供するハンティングバラエティ。見事に怪魚(初回)、ゴースト(2回目)をハントできればラッキーだが、できなければ千鳥みずからが30分番組を締めくくるにふさわしい、オチを見つけなければならない。
千鳥に笑いの神様が舞い降りていると思わせるのは、初回から巨大ナマズが「釣れない」という結果を生んでしまうところだ。焦った大悟は、海水で手を洗うフリをして、そのまま海へダイブして、なんとかオチをつけた。ところが、船に同乗したカメラマンが撮り逃すという、オチを上回るオチ。ノブは、「どういうお笑い?」と、嘆き節を口にするしかなかった。
2回目のゴーストハントでは、特徴あふれるゴーストハンターを見るや、「取り憑いとるがな」(大悟)。一行は廃病院に潜入する前に、初台駅前の商店街で聞きこみを開始する。大悟はスナックに入って、落武者にそっくりな泥酔客のおばさんをハント。ノブはすかさず、「日本幽霊」とツッコむ。その後、普通に歩いていると、人気漫画『笑ゥせぇるすまん』の主人公・喪黒福造と同じ風貌の一般人が真横をサラリと通過。素人が潤沢な撮れ高を生んだ。
その反動か、廃病院のなかでは幽霊をハントできず。終盤で、ゴーストハンターが霊のエネルギーをコップの水に封じ込め、トイレに流した。すると、大悟はおもむろにその便器に手を突っ込んでかきまわした。あまりの奇行にノブは、「取り憑かれとる」とポツリ。冒頭とエンディングで帳尻が合い、番組は幕を閉じたのだった。
そうして迎える3回目! …と思いきや、番組はいったん小休止に入る模様。ツイッターでは早期復活を望む声があふれ、加地さんが再び、千鳥という好素材を調理する日が待たれる。体を張って、番組のオチを“ハント”する大悟。服で海に落ちることも、便器に手を突っ込むことも厭わないその姿勢は、芸人の鑑といえよう。