今年はリニューアルされた阪神競馬場のこけら落としGIとして、華々しさを増した2歳女王決定戦「阪神JF」。旧阪神競馬場のマイル戦では“魔の第2コーナー”と呼ばれた最大の難所も、向正面からのスタートに変更され自然消滅。最大の勝負どころは、目玉として新設された外回りコースの直線474mだ。
プラスに出るのか、マイナスに出るのか、走ってみないことには分からないという声が大勢を占める中、「最初のコーナーで窮屈になるなど、予期せぬアクシデントがなくなるという点ではリスクがかなり軽減されたし、何より、ウチのは末脚が武器だからね。直線が100m以上延びて追い比べになるのは大歓迎だよ」と、リニューアルを声高に喜ぶのが、目下2連勝中のルミナスハーバーを送り出す鎌田助手だ。
9月30日の中京デビュー戦こそ「あのスローで後方から。しかも、3角からマクッて出るアンチャン(=見習い騎手)みたいな競馬」と酷評した小牧騎手のボーンヘッドでクビ差の2着に甘んじたが、2戦目の未勝利戦ではスローペースにもピタリと折り合って直線は手綱を微動だにせず、おいでおいでの大楽勝。結果は芝1600m1分33秒8のレコード駆けで、2着に7馬身をつける圧巻のパフォーマンスを見せつけた。
「あれでGIを意識した」という鬼脚をもってすれば、阪神JF出走を確たるものにするべく、適鞍の平場(500万 芝1400m 京都)に回った前走など、負けるはずがなかった。
唯一の不安は「もともと調教では気合乗りのいい馬だったし、デビュー戦の負けが1走余分だったから、だんだんカリカリしてきて馬体が細くなってきた」点だが、それも「前走の前から調教でメンコを着けるようにしているし、この中間は気分転換を図る意味で午後運動もやっている。いいガス抜きになったのか、細かった食いも先週の水曜日あたりから食べだして、今は体もふっくらしている」と敏腕スタッフの早めのケアで事なきを得た。
「スタートから我慢させれば、直線はすごい加速力で伸びる。クラウンプリンセスやカノヤザクラのドタバタした脚と違って、音もなくスッと切れる牝馬特有の切れ味。新しい阪神の外回りで、直線どれだけ弾けるのか。本当に楽しみ」
究極のキレ者・ルミナスハーバーがV3で新ヒロイン誕生を高らかに告げる。