「(9月5日の)日本ハム戦のピッチングは本当に凄かった。一死満塁の場面を2者連続三振で抑えました。もともと、救援もできるタイプだったけど、リリーバーとしての適性を再確認しました」(球界関係者)
8月10日の一軍復帰以来、小野はセットアッパーを任されている。この時点で14試合に登板し、8ホールド1セーブ。先発投手としてのキャリアも長いが、救援投手陣が過労気味なだけに、今シーズンはセットアッパーで起用されることになるだろう。
「小林宏のメジャー挑戦(FA)の噂が絶えません。小林宏の抜けた来季、誰にストッパーを任せるべきか、首脳陣は小野をテストしているのではないか?」(前出・同)
ストッパーの務まる投手を外部から補強するのは、並大抵ではない。トレードであれば、それ相応の交換要員を覚悟しなければならない。外国人投手やFAで獲得する場合、高年俸を吹っ掛けられるのは必至。“内部昇格”させるにしても、精神力、制球力、ウイニングショットとなる球種を持っているか否かなどの条件をクリアできる投手は少ない。小野は『ストッパーの適性』を兼ねた数少ない投手なのである。
「小林宏のメジャー挑戦が正式に決まったら、小野が強制的にストッパー専念させられる可能性も捨てきれません」(チーム関係者)
一方の小林宏だが、海外FA権を取得したときに「権利に関しては、シーズンが終わってから考えようと思う」(4月26日)とコメントして以来、去就については何も明かしていない。かといって、メジャー志望が薄れたわけではないらしく、「同僚の井口(資仁)がメジャーに在籍していたときに契約していたB社が交渉の窓口になる」との情報まで飛び交っている。
その真偽はともかく、メジャースカウトの間では、こんな声も聞かれるようになった。
「小野もいいねえ。昨季は先発ローテーションを外れることなく、1年間しっかり投げ抜いたし、リリーバーの適性も高いことが分かりました。日本ハムのダルビッシュの動向は読めないし、昨今、我々の間で話題に上るんですよ、小野のことが。小野は(メジャーについて)どう思っているんだろう?」
ア・リーグ球団スカウトマンの1人がそう言う。安定感バツグンのセットアッパーぶりを認めていたのは、ロッテ首脳陣だけではなかったらしい。
「小野は先発ローテーションに復帰するため、救援で結果を残そうとしているだけ。先発投手としての執着心が強いタイプです」(同)
小野は昨季、海外FA権を獲得したが、『チーム愛』を理由に残留している。小林宏はメジャーでは先発で挑戦したいと考えているという。メジャースカウトは「リリーバー」として評価しており、見解の違いは交渉のなかで埋めていくと思われる。それが埋まらなかった場合、どうなるのか…。
「小野に乗り換えるメジャー球団が現れないかって? 本人がFA権を行使するなら、交渉に乗り出す球団は少なくないと思いますよ。先発ではなく、リリーバーとしてですが」(前出・ア・リーグ球団スカウト)
リリーバーとしての適性を認められたのは、小林宏だけではなさそうだ。これも、ロッテ投手陣の潜在能力の高さだろうが、彼らは先発へのこだわりも強いようである。