その仏教寺院の建物には、世界のトヨタの誰もが知っているロゴとマークが描かれており、これに「仏教を冒涜している」「寺院を私物化している」「日本メーカーがついに寺院を買収か」などと非難轟々(ごうごう)。
「実はこの寺院には、タイでトヨタの代理店を長く務め、売り上げに大きな功績のあったタイ人一族の先祖代々のお墓があり、その墓地がよく見渡せる場所に一族関係者が浄財を寄付して建てたのがこの建物。つまり、周囲の景観を損ねないように寺院風の造りになってはいるが、ここで仏教行事が行われることはないというのが真相だったのです」(バンコク在住日本人)
とはいえ、タイは「国王・仏教・軍」が3大タブーとされ、批判もおちょくりも悪用も許されない厳しいお国柄だけに、タイ・トヨタの幹部は「多くの仏教徒のみなさんの心情に配慮することが大切」と判断。即、トヨタのロゴとマークを取り外し、仏教的なシンボルをそこに描くことを表明、あっという間に削除されてしまった。
「もっとも、同県にある有名な別の寺と勘違いして怒った人も多かったとか。騒動のおかげでその寺はマスコミが押しかける、野次馬が集まるで一躍有名になるという“ご利益”もありました」(同)
タイでは最近、不良青年が親に言われて出家、戒律で禁止されている女の子と交際しながら寺院の不正を暴いていくという映画『アーバット』が仏教界の強い反対で上映禁止となったばかり。
昨年のクーデターで実権を握り、現在国政を強力に牽引している軍政トップのプラユット首相には「お墨付きを与えたのは、さる仏教界の著名な高僧」との噂もあるが、こちらもそれ以上の詮索はご法度。くわばら、くわばら。