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2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(千葉ロッテ編)

 「状況は変わっていない」(チーム関係者)
 このコメントを信じるとすれば、1位指名は「投手」である。何が変わっていないのかというと、千葉ロッテは8月15日にスカウト会議を行っている。夏の甲子園大会中ではあったが、大阪のチーム宿泊ホテルに主要スカウトが集まって指名候補を絞り込み、今後、密着調査を続けていく1位候補(数人)も決定したという。
 「意識したわけではないが、指名候補をAランクとB、Cランクに分け直したら、前者はピッチャーが多くて」
 こちらは8月15日のスカウト会議後、別の関係者がくれたコメント。「Aランクにピッチャーが多く残った」という、8月15日の会議から状況が“変わっていない”のならば、「1位入札=投手」だ。
 大学、社会人で高く評価しているのは、創価大・田中正義(右投右打)、明治大・柳裕也(右投右打)、そして、九州産業大・高良一輝(右投右打)だ。田中は4年春のリーグ戦で故障も重なり、不本意な成績に終わっている。「高校時代もケガに泣かされた」なる情報が重なり、悲観的な声も聞かれたが、「悪いなりにまとめる力もある」と評価を変えなかった球団もある。

 12球団スカウトが田中に惹き付けられるのは、まず、投球フォームが大きいこと。走者のいない場面ではゆっくりと左足を上げ、着地してからさらにもう一歩前にくるような感じを与えるほど、下半身で粘ってから投げ込んでいる。某スカウトがこう評する。
 「(ボールを)リリースする瞬間と、その直前のボールを放つコンマ5秒前が好きなんだよ。ボールが右の人指し指、中指にくっついているみたいで」
 俗に言う、「球持ちの良さ」というヤツだ。その天性のストレートに加えて、フォークボールも良い。ダイナミックなフォーム、球持ちの良い腕の振りで投げ込むから、ボールが落下軌道に入るとき、一瞬、止まったような錯覚を対戦打者に与える。これはフォークボールを決め球にしていた往年の野茂英雄、佐々木主浩両氏に通じるものがある。

 この田中と柳、高良、高校生の寺島成輝(履正社/左投左打)、花咲徳栄・高橋昂也(左投左打)、横浜・藤平尚真(右投右打)、作新学院・今井達也(右投右打)の7投手がAランクに位置づけられている。他球団と代わり映えしないが、野手では小林敦スカウトがトヨタ自動車の遊撃手・源田壮亮(23=右投左打)を視察した(10月5日)。源田は愛知学院大を経て社会人入りし、1年目からレギュラーポジションを獲っている。守備力、強肩、50m走5秒台の俊足遊撃手だが、そのタイプの内野手というと、大学生の吉川尚輝(中京学院大/右投左打)、京田陽太(日大/右投左打)ばかりがクローズアップされてきた。その理由は、打撃力にある。源田はトヨタで9番バッターだ。しかし、千葉ロッテには小坂誠(日ハム二軍コーチ)のように「守備と足の選手」を指名し、成功させた実績もある。実は、千葉ロッテのスカウトが野手を見る際、独自の評価基準があるという。それは、「単なる守備固めの選手なのか、レギュラーを狙える選手なのか」を見極めるもので、源田のような「守備と足の選手」に対し、「代走、守備固めで途中出場しても、試合の流れを掴めるかどうか」を見るそうだ。『スカウトの眼力』『独特の嗅覚』なのだろう。小林スカウトは源田の視察後、「プロで通用すると思う」と各メディアに答えていた。単なるリップサービスでないとすれば、「途中出場でも試合の流れを掴める選手」という、千葉ロッテ独特の嗅覚に引っ掛かった選手と評価したのではないだろうか。

 あまり表には出なかった源田を10月に入ってから再視察したということは、京田、吉川は指名できないと見ているのだろう。京田、吉川は上位指名で消える。これも、千葉ロッテは上位で投手を指名する根拠になるのだが、同時に、下位指名でも、一軍戦力になる内野手がほしいと見ているのだろう。
 田中、柳、高良の大学生投手からの選択が有力だが、作新学院の今井にかなりホレ込んでいるとの情報も気になる。地元千葉の好投手、島孝明(東海大市原望洋高/右投右打)は150キロを投げ込む。スライダーのキレは高校生離れしており、他球団は将来性で高く評価している。4巡目あたりまで残っていれば、千葉ロッテはニンマリなのだが…。

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