時にそのマスコミ受けする過剰なほどのリップサービスは、大風呂敷と揶揄する向きもあるが、良血馬でもなければ高馬でもないタップダンスシチーやサクラセンチュリー、サンバレンティン等々、雑草に華を咲かせた名トレーナーであることも確かだ。
前走の朝日CCは3歳、5月7日の京都新聞杯から約2年4カ月ぶりの勝利。一時はツメの疾患から競走生活はおろか、生命の危機すら案じられた「思い出したくない悪夢」(同師)を一掃。ディープインパクト世代のダービー2着馬の雄姿を見事に甦らせた。「道中、11秒2の一番速いラップが刻まれた勝負どころのあの1Fで先団に一気に取りついたからね。あの速さはGIに出しても恥じない」と師はきっぱりだ。
さらに、今夏の馬インフルエンザ騒動に巻き込まれて、大なり小なりその影響を受けたGIホースに比べて、「中止になった小倉日経オープンは仮にレースがあったら勝っていたと思うが、あの暑い中、使っていたら今があったかどうか。北海道に2度行ったサンバレンティンとは対照的に、むしろ、この馬にとってはあの騒動は吉と出た」と、降ってわいた大騒動もプラスに働く追い風となれば、もはや勝利は手中に収めたも同然といっても過言ではない。
「競馬当日の馬房で汗ビッショリになりながら前掻きばかりしていた以前の彼ではもうない。今は本当に精神的に大人になったし、トモの肉付きも盛り上がってきた。ファンの夢を膨らます競馬で勝ちたい」
青写真通り“完ぺき”に仕上がったインティライミが不動の本命だ。