「バイオ燃料というとサトウキビやトウモロコシから作るバイオエタノールが思い浮かびますが、コストが掛かる上、ガソリンに混ぜられるのはせいぜい3%です。ところがブタノールはガソリンと同じ成分なので、クルマに限らずガソリンを燃料とする物にはすぐに応用できるのです。またガソリンへの混合が容易ですから、既存の給油施設で間に合うなど使い勝手のよいバイオ燃料として注目を浴びています」(業界紙記者)
先ごろ三重大大学院の研究チームが、同県南部で栽培されている温州ミカンなどの農業系廃棄物からブタノールを効率的に生産するシステムの開発に成功したという。このシステムが汎用化すれば、ミカンなどの柑橘類生産農家がエネルギー生産工場に変身するという期待も膨らむ。
「ミカンの廃棄物がどれほど出るかという問題がありますが、おそらく三重県全体で3000トンほど。もちろん年度によって豊作や不作などで変動はあるでしょう。それよりも今後、高齢化によって全国的に廃園農家が増えることは間違いない。消費者が口にするものでなければ手間ヒマを掛けずに済むから、高齢者でも十分に従事できるかもしれません。三重県内で商品や加工品の生産農家、エネルギー用農家と棲み分けできれば、産地として活気が出ると期待されています」(三重県農林水産部)
ミカンも一皮むけて、石油に代わる代替エネルギーに変身する日が来るか。