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大阪W選挙裏レポート 橋下維新分裂の大逆風(1)

 新党を発足させ11月の大阪市長選、府知事選のW選挙を一挙に大勝利に導くための新党構想。しかし、ここに来て大逆風にさらされ、橋下徹大阪市長が崖っぷちに立たされているともっぱらだ。
 その原因のひとつはカネだ。事の発端は、すんなり行くと思った維新の党の分党構想において、“政界の森蘭丸”の異名を持つ江田憲司前維新の党代表の策略の前に、アップアップ状態に追い込まれ始めたからだ。
 その背景と経緯を、維新事情通がこう明かす。
 「橋下市長が進めるおおさか維新の会が大躍進し選挙を戦っていくためには、莫大なカネが必要です。今年5月に行われた大阪都構想住民投票で橋下市長らは、CMや運動費に維新の党の政党交付金から4億円を注ぎ込んだと言います。しかし、それでも負けてしまった。だから今度の大阪W選挙にも、5億円以上、7、8億円近いカネがかかると言われています」

 資金集めには当然ながらスポンサーが必要となる。その企業としてパチンコのマルハンや阪急電鉄、ソフトバンク系列などがあると言われているが、目まぐるしい動きをする橋下氏と松井一郎大阪府知事のコンビだけに、そんなに巨費を投じられないのが実情だ。
 さらに個人商店ではない企業にとっては、資金を出すにもそれなりの正当な理由が必要。そのため橋下氏らは、大阪都構想投票時の資金には党の政党交付金を投入したのだ。しかし、今度の新党でのW選挙時には、もはや維新の党の政党交付金は当てにできない雲行きという。
 「橋下氏の頭に最初からあったのは、維新の党の分党資金だった。政党交付金は国会議員数によって割り当てられるため、維新の党51人分の政党交付金は26億6478万円で、これが年に4回に分けて支給される。そのうち2回分はすでに交付されているので、残りの約13億円が2回に分けて交付される。分党すると、橋下新党に流れる国会議員は20人前後と言われているため5億円前後が使えるはずだったのです」(同)

 そして、残りの3億円は結党カンパや政治資金で賄える勘定だったのだが…。
 「松野頼久維新の党代表は、最初は自らの党にも維新という名前が残せるならと、分党には前向きだったといいます。しかし、そこにブレーキを掛けたのが江田氏でした」(同)

 江田氏といえば、みんなの党時代、渡辺喜美代表を化粧品会社社長からの政治資金借り入れ問題を暴露させて潰したと言われ、その後、自ら橋下氏に擦り寄り維新入りを果たした。しかし、どちらも親分になりたい性格のため、橋下氏とは反りが合わなくなった揚げ句に、今回は裏で松野氏と柿沢未途前幹事長を操り民主党寄りに舵を切ってきた張本人とされる。
 「江田氏は、橋下氏の原動力の源もヤリ口もすべて知り尽くしたうえで仕掛けている。まずは、まんまと目の上のたんこぶの石原慎太郎グループを維新の党から追い出した。その後、今年8月には江田氏の腹心の柿沢氏に山形市長選で維新が推していない候補の応援をさせ、橋下氏らを激怒させて党を割るよう仕向けたわけです」(同)

 こうした策略を仕込んで橋下氏らを新党結成に向かわせた上で、その原動力のカネを断ち切る仕掛けをしたのだ。そのため、最初は分党しようとしていた松野氏も分党を拒否し、橋下シンパらを“除名”するという動きに出た。
 「除名であれば、政党交付金は橋下派議員らには一銭も渡りません。維新の台所事情や橋下金脈を知り尽くした江田が仕掛けた“橋下潰し”ですよ」(同)

 そんな兵糧攻めを受けた橋下派大阪系議員を束ねる馬場伸幸前国対委員長らも、これに対抗。
 まず、松野代表ら維新の党現執行部は臨時で就任したため、すでに“任期切れ”とし、除名は無効。さらに維新の党の6割が参加する除名組で臨時党大会を10月24日に開催し、大阪系中心の新執行部を選んで維新の党を再度乗っ取ったうえで、政党交付金をぶん捕る策に出たのだ。

 「もちろん、松野氏や江田氏らは、あくまで現執行部が正当な執行部だと対決姿勢を強める構え。こうなると、現執行部と新執行部で維新の党執行部が2つ存在することにもなりかねない泥仕合に発展しそうです。国が政党交付金をどちらに配分するかということになり、最終的には司法の場で争われる可能性もある。しかし、この騒動で大きなダメージを受けるのは、何と言っても橋下新党側です」
 こう語るのは、全国紙在阪記者。
 その理由としては、
 (1)ドタバタでイメージが悪くなるのが“元祖維新”の橋下側。
 (2)大阪系国会議員は分党とW選挙2つに勢力をそがれる。
 (3)当面、W選挙の資金として当てにしていた分党資金が入らず、軍資金が枯渇する危険。
 などが生じてくるためだという。

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