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安倍首相がマジで仕掛ける農協解体(2)

 また、農協が「農業界のガン」と呼ばれる原因には、農作物の流通を牛耳っている点も見逃せない。
 「代表例が米の流通だ。現在、日本の米価は減反政策で調整され、本来一俵(60キロ)9000円程度のものが、1万5000円強の値段となっている。毎年減反農家には総額5000億円もの補助金が支給され、消費者は割高な米を買わされているのです。また、農協が大手を振って推進するこの政策は、農家にも悪影響を及ぼしている。本来は米より葉物などの野菜の方が高収入なのだが、補助金がもらえるために、米に固執する農家が増殖。農業の競争力と作物のブランド化に歯止めをかけまくっているのです」(商社関係者)

 さらに、一方で問題となっているのは、コングロマリット化した中央会の焼け太りぶりだ。中央会は全国で約700カ所に及ぶ農協から加入者数によって算出された賦課金を徴収しているが、その額は一カ所で年間約80億円にも及ぶという。
 この潤沢な資金と肥大化した組織を武器に政界にやりたい放題の圧力を掛け続けてきたため、自民党内でも長らく解体論が叫ばれてきたほどなのである。

 もっとも、安倍首相が農協の解体に踏みだした裏には、集団的自衛権の行使容認、TPP交渉問題以上の思惑があるとの見方も指摘されている。
 「それが農協に許された金融面での特権なのです。農協は協同組合法を盾に金融業務に加えて生保や損保の業務も兼ねている。膨大な組合員を抱えているため、生保や損保業務を切り離すよう米国が水面下で安倍政権にネジを巻いているらしいのです。また、農協のJAバンクには90兆円の預金量がある。この額は、今やメガバンクでもトップの三菱東京UFJ銀行に次ぐ預金量なのです。政府は5月22日の発表の際、JAバンクなどの金融事業を農林中金などに業務移転することまで盛り込んだが、この囲われた金を市場に転用し、アベノミクスの新成長戦略に活用しようと目論んでいるともみられるのです」(前出・編集委員)

 一方、前出の政治部記者はこう語る。
 「実は農協は民主党政権樹立時に、一部が一度自民党を裏切った経緯があり、自民党内にはその恨みが渦巻いている。また、近年農家の子供たちがサラリーマンとなり、准組合員数が増え続けているため、以前のように“自民党の集票マシン”として機能しなくなってきているのです。安倍首相が農協解体に手をつけ始めたのはこの組織を解体、再構築し、再び自民党の大票田とするためで、解体の延長線上には第二の中央会の設立も視野に入れているという。そのために、郵政選挙さながらの解散総選挙を打とうとしているとも伝えられているのです」

 果たして、今後農協と安倍首相の闘いはどう進展するのか。国会会期後の動きが見モノだ。

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