「梅田地下街の中でも、あの一帯は昭和の雰囲気を色濃く残す場でしたが、大阪市にとって“完全浄化”は長年のテーマ。阪神の建て替えを理由にいよいよ手をつけたということです」(大阪市職員OB)
しかし、その中にあって串カツ店『松葉』だけは立ち退きを拒否。今年4月には、大阪市を相手に地下道占用許可の更新を求める訴えを起こしている。
「『松葉』は昭和24年から梅田の地下で営業を続けてきた老舗。値段が安いこともあり、サラリーマンのオアシスになっています」(在阪グルメライター)
橋下市長は「申し訳ない。今までの占有料が安すぎるということをご理解いただきたい」と、これまでの“特例措置”に理解を求める一方、「(このままでは)法的手続きを進めていかざるを得ない」と、行政代執行による強制撤去をチラつかせ、これに『松葉』側も態度を硬化。「今後もやれるだけやります」(従業員)と、営業継続の構えを見せていた。
これら一連のやりとりが報道されるや、『松葉』は連日大盛況。立ち退き期限の6月10日も、午後7時には売り切れ閉店という事態となった。
しかし、周辺の飲食店は、どちらかと言えばシラケ気味だ。梅田地下街のある居酒屋店主がこう語る。
「実際の理由は立ち退き料のもつれですからね。今回の騒動の影響で少し離れた本店のほうも連日大盛況でしょ。いいPRですよ」
任期の最後まで毅然としたところを見せておきたい橋下市長と、少しでも有利な条件で立ち退きたかった『松葉』。騒動の“二度づけ”は厳禁だ。