9月23日にマリアナ諸島沖で発生した台風21号は28日、沖縄県与那国島に観測史上4番目の最大瞬間風速81.1メートルの強風をもたらし、島のほぼ全世帯にあたる約1000戸が停電、住宅200戸以上が損壊するという被害を引き起こした。
「21号は中国大陸に上陸して消滅しましたが、南から運ばれた暖かい風が大陸の冷たい空気と混ざり合った結果、爆弾低気圧を発生。10月1日9時の時点で996hPaだったものが、944hPaまで急激に下がり、日本各地に暴風雨が吹き荒れたのです」(サイエンス記者)
これにより10月2日、北海道十勝清水町の牧場で、屋根を修理する作業をしていた男性4人が風に煽られ転落。1人が死亡、3人がけがを負った。都内でも同日、JR品川駅近くの線路に90センチ四方のアルミ製のテーブルが落下し、東海道線などが一時運休。通勤時間帯だったため大混乱に陥った。
しかも5日以降、新たに発生した2つの台風により同じような天候になる可能性があるという。
防災ジャーナリストの渡辺実氏が言う。
「10月4日現在、台風22号がフィリピン近くにあり、このまま中国大陸に上陸する模様です。しかし、その後、温帯低気圧化し爆弾低気圧となって日本に流れてくる可能性がある。どうやらその動きは、後から追いかけてくる23号に支配されるようで、そちらの状況にも注目しておくべきです」
21号の場合、規模があまりにも大きかったため、消滅してもその影響が残り爆弾低気圧を発生させた。このように予断を許さない気象状況は、世界中で今後も続くという。
「こうした天候になるのも、北極海を取り巻く偏西風が不安定だからです。その背景には、温暖化によって氷が溶けだし、偏西風の蛇行が地球規模で進んでいる事情がある。今、気象の世界では“極端化”という言葉がよく使われる。夏はもの凄く暑いが、冬も極端に寒い。大雨が降る地域があるかと思えば、干ばつに苦しむ地域もある。そうした“極端化”が進んだ先に、いったい何が我々を待ち受けているのか。注視していかなければなりません」(前出・渡辺氏)
恐竜絶滅の原因のひとつに気候変動があったと言われるが、人類も同じ道をたどっているのだろうか。