銀行などへの販売手数料もこの14%の中から支払われるが、うち3%弱に相当する約300億円が、総務省所管の財団法人(実態は天下り団体)である「自治総合センター」と「日本宝くじ協会」に“宝くじ事業資金”として上納され、さらに「宝くじファミリー」と呼ばれる他の4つの公益法人に分配される。
併せて6つの公益法人、その歴代理事長43人全員が総務省からの天下り。そして、役員の平均報酬は約2000万円と、何かの間違いではないかと思うくらいの待遇でもてなされている。
宝くじ販売の受託を一手に握るみずほ銀行が、'10年に作成した資料によれば、同銀行が使う「販促・広告費」とはテレビ・紙媒体で見かける広告のこと。一方「普及宣伝費」は、同銀行が「日本宝くじ協会」と「自治総合センター」に委託して行う事業に対して支払われる対価で、この費用が全体の20%を占めていた。
つまり、みずほ銀行が広告宣伝を行っているにもかかわらず、自治総合センターなどがそれとは別に担っている形になっており、こんなムダ金が、天下り官僚へ“お手盛り”され流れているのである。
いわゆる「事業仕分け」では、こうした「たかりの構図」と広告宣伝費の重複という「ムダ」を批判され、日本宝くじ協会など総務省や自治体の天下り機関となっている公益法人への委託業務は、大幅にカットされるはずだった。さらに「問題が解決されるまで宝くじの販売を認めるべきではない」との結論まで突きつけられたにもかかわらず、以後一度も中断することなく、現在まで宝くじの販売を続けている。
ところが、仕分けられた数々の他の事業と同様に、まるで、その後に起きた大災害の影に隠れたのをこれ幸いにとばかり、今もこの“仕分け結果”を無視し続けているのだ。
そして、実はこのカットから逃れたもう一匹の獏が、闇の向こうに今も棲息している。民間会社ゆえ仕分けのテーブルに上がることはなかった、みずほ銀行の“親密会社”と見られるその会社の名は、日本ハーデス株式会社。同社は登記上の本社である東京・港区六本木の地に会社の実態はなく、同・千代田区九段北にあるビルに、グループ各社とともにひっそりと本社機能を置いている。
ビルの1階には宝くじ売り場とみずほ銀行のATMがあり、その横に入り口があるが、社名表示らしきものは一切ない。にもかかわらず、エレベーターの前にはガードマンがおり、威圧的な態度で身構えている。
民間調査会社のデータにも詳細なものはまったくなく、30社近い傘下企業の概要は、まるで“秘密結社”のようにベールに包まれているのだ。