「投票日前日に大阪維新の会は結果を市内のホテルで聞き、そのまま会見を行うことを発表しました。すごい自信だとは思いましたが、期日前投票の出口調査で勝利を確信していたようです。それにしても橋下、松井が、あそこまで完勝するというのは予想外でしたね」(市政担当記者)
これで大阪は完全に大阪維新の会の天下となったわけだ。
振り返れば約2年前、6人の大阪府会議員により自民党の一分派としてスタートした維新の会。しかし、今や府議会では100人以上の議員を擁し過半数を制圧。大阪市議会、堺市議会でも最大会派として影響力を行使し、大阪を席巻しているのである。ただし今回の選挙戦では、当初は平松陣営が互角に戦いを進めているという見方もあった。
「後半は、組織型選挙への反発、平松候補の討論会ドタキャン騒ぎで地滑り的に情勢が動き、橋下氏に風が吹きました。一連のスキャンダル報道による橋下叩きも、かえって選挙民の同情を呼び追い風となったのです」(同)
予想を上回る大勝利に、維新の会関係者は興奮を隠せない。
「明治維新の場合も、長州藩の片隅の松下村塾から始まりました。“平成維新”も大阪市内の喫茶店の語らいからすべてが始まった、と後世に伝えられることでしょう」(維新の会所属の市会議員)
一方、惨敗を喫した平松陣営。自民、民主の二大政党に、よもやの共産党までもが“反独裁”と大同団結し、これに労働組合をはじめとする主要関係団体が加わってさえ、橋下維新の牙城を崩すことはできなかった。既成政党、とりわけ自民、民主のショックは大きい。
「平松さんが負けるのは覚悟していましたよ。しかし接戦で敗れるのなら、橋下体制になっても批判勢力として、市政に対する影響力を確保できると思っていました。しかし、これほどの負けになるとは…」(民主党府連関係者)
自民党にとって今回の選挙は、知事選の候補者支援を巡る国会議員と府会議員のゴタゴタが最後まで尾を引いた、後味の悪いものになった。維新の会のそもそもの出身母体が自民党だけに、府議会、市議会では、さらなる転向も予想される。