今シーズン「打率.310・32本塁打・127打点」で打点王に輝き、主将としても埼玉西武を牽引した浅村。2008年以来のリーグ優勝を果たしたチームにおいてMVP級の働きを見せた選手の1人だが、来シーズンは楽天のユニフォームに袖を通すこととなった。
今回の一件を受けたネット上には、「ファンとしては残念でならない」、「ある程度は覚悟してたけどやっぱりしんどい」、「もう浅村のこと応援できないのか…」といった埼玉西武ファンからの悲しみの声が数多く寄せられている。優勝球団の主力選手が同リーグの最下位球団への移籍を決断したという事実を考えると、ファンが大きな悲しみを抱くのも致し方ないといえるだろう。
ただ、ファンの中にはその悲しみが行き過ぎたのか、ネット上で“暴徒化”している人も。当事者の浅村や楽天に対し「タンパリングだろ」と根拠のない批判を浴びせたり、ファン感謝祭や来年の公式戦でのブーイングを呼び掛けたり、果ては浅村の写真を燃やしたりと、もはや何でもありの状況だ。
また、オークションサイトやフリマアプリには、浅村に愛想を尽かしたファンが大量に関連グッズを売りに出してもいる。あくまで個人的な印象だが、こうした状況は見ていてあまり気持ちのいいものではない。
そもそも、FAというのは所属球団で長年頑張った選手がもらえる真っ当な権利である。権利を行使するかは個々人の自由であり、どのような決断をするかももちろん自由だ。
心無い批判や反応に対しては「普通に権利行使しただけやろ、民度が低すぎる」、「多少の文句は仕方ないけどこれはやりすぎ」、「球団はこういう奴らを取り締まった方がいい」といった苦言のコメントも寄せられている。納得できないファンの気持ちも理解できるが、その決断をもう少し尊重してもいいのではないだろうか。
文 / 柴田雅人