社会
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社会 2016年08月27日 16時44分
痒みだけじゃない! 蚊がもたらす病気の危険性
今年の夏の楽しい思い出はできたでしょうか。今からでも遅くはないと、積極的に出かけている方もいるかもしれませんね。 この時期の外出時、嫌な思いをさせられるのが、蚊です。刺されれば痒みに襲われ、苛立ちを覚えます。さらに蚊は、感染症を媒介する危険性もあるので注意が必要です。 今回は、医師の小田切ヨシカズ先生に、蚊がもたらす感染症や、刺されないようにするための方法などをお聞きしました。■人を刺すのはメスだけ 「まず、人を刺すのはメスだけ。普段は樹液や花の蜜を吸って生きていますが、産卵期になると人の血を吸うようになります。気温がだいたい25〜30度くらいになるともっとも活発に活動します。だからもうしばらくは、外出時に注意を払わなくてはなりません。刺された後の痒みの原因は、蚊の唾液にあります。刺されたことを感じさせないようにする麻酔の役割や、血を固まらせないようにする効果があります。この唾液によりアレルギー反応が起き、痒みが生じます」■感染症の危険性 「蚊が媒介となる感染症で最近話題になったのが、ジカ熱です。妊婦が感染すると、生まれてくる子どもに小頭症などの障害をもたらす可能性があるとされています。中南米で流行し、今年のオリンピック開催地のブラジル行きを断念した選手もいるほど。去年の夏に話題になったのが、デング熱です。久しぶりに日本での感染者が報告されました。2〜15日ほどの潜伏期間ののち、高熱や頭痛を発症します。かつて世界で猛威を振るったマラリアや、昭和の中頃に大流行した日本脳炎なども、蚊が原因となります」■蚊に刺されやすい人 「蚊に刺されやすい血液型として挙げられるのが、O型です。詳しい理由が分かってはいませんが、何らかの蚊が好む要素を持っているからだとされています。あとは、体臭の強い人も、引き寄せやすいと言われています。太っている人は汗もかきやすく、臭いも発しやすいので、狙われやすいと言えるでしょう。お酒をたくさん飲む方も、同様のことが言えます。また、蚊は色を識別する能力があるとされ、濃い色を好む傾向にあります。ですから、色白よりも色黒の人の方が刺されやすい。体質的な問題はありますが、以上の点に気を付けると、蚊には刺されにくくなります。もちろん、蚊よけスプレーを使うことも大いに効果ありです」 蚊による被害は痒みだけではありません。たかが小さな虫だと侮っていると、しっぺ返しに遭うかも。涼しい季節が訪れるまで、しばらくは注意が必要です。【取材協力】小田切ヨシカズ湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。
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社会 2016年08月26日 10時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第32回
田中角栄大蔵大臣の誕生により、それまでのいかにも重々しかった大蔵省内の空気、光景が一変した。 何よりも、大臣室への訪問客の多さが目立った。陳情客の他、友人、知人と称する“田中ファン”が連日押し寄せ、これが1日100人は下らなかった。大臣秘書官はあまりの訪問客の多さに、1日の仕事の大半がそうしたスケジュール調整に追われるといった具合だった。また、そうした訪問客の間ゲキを縫ってというべきか、事務当局の大臣への“ご進講”があるのだが、自信満々の田中はそんなことは百も承知だとしてアキアキしてしまうらしく、話半分で“角栄独演会”で局長クラスをケムに巻くのだった。例えば、こうであった。 「私はね、国会答弁での想定問答集なんか読まんよ。これまでは答弁に局長、局次長クラスを動員したようだが、これからはたいがいの答弁は私一人でやるッ。大体、そんなコトは事務効率の低下だ。私はね、金融はともかく財政はクロウトだ。この12年間でも、予算編成に立ち会わなかったのはたった2回だけでね。私が立ち会わなかったときに限って編成作業はモメたんだ」 この自信満々の大臣が、衆院大蔵委員会で就任後、国会での初答弁に立った。初日のこの委員会席は、田中が政調会長時代に「沖縄発言」などの“前科”があったことなども加わり、失言もあるかと興味シンシン、満席であった。ところが、田中は減税、消費者米価の値上げ問題などの矢継ぎ早の質問にもなぜか「慎重に検討したい」の一点張り、“勇み足”を心配して詰め掛けていた大蔵省幹部をホッとさせたのであった。 しかし、この大蔵委員会審議での野党側からは、「慎重に検討したい」の大臣答弁の連発にシビレを切らしたか、「大臣は官僚出身でないにもかかわらず答弁にソツがなさ過ぎないか」と不満も出始めた。ついには、田中の政調会長時代にブチ上げた日銀法改正、預金金利の引き上げ論にホコ先を変えて迫ったが、田中はここでも「当時とは経済情勢も変わっているので、軽々に結論は出せませんナ」と、軽くイナしてしまうのだった。こうしたあまりのソツのなさにアタマにきたか、当時の民社党の論客、春日一幸は言ったものだ。 「田中蔵相は政調会長時代に比べて、カドが取れ過ぎておる。これでは田中角栄にあらずして“田中丸栄”である」 一方で、当時の田中にはこんなエピソードもある。あの田中が大蔵省幹部たちの前で、思わず大粒の涙を見せたという話である。経緯は、こうであった。 閣議に出る前、田中は大蔵省幹部からあらかじめ受けていたレクチャーを、そのまま閣議の席でしゃべった。田中はその後、大蔵省に戻ると、幹部たちを前に得意気に閣議でしゃべった内容を話した。ところが、幹部たちの表情が変わったのである。しばし沈黙があった後、当時の官房長の佐藤一郎(後に事務次官。政界入り後に経済企画庁長官)が、やおら口を切った。 「大臣。今のお話では私どもが事前に差し上げた資料、並びにご説明したものと相違しております」 ここで、田中の顔色がみるみる変わったのだった。佐藤官房長と、こんなヤリトリになった。「いや、私は資料なんて絶対もらっておらんよ」「いえ、ちゃんとお渡ししてあります」「私はね、君たちからもらう資料はこれまで全部読んでいる。もし、もらっていたら必ず読んでいるはずだッ」「いえ、お渡ししてあるはずです!」。 そのときだった。田中の両眼から、ポタポタと大粒の涙がこぼれ始めたのだった。佐藤官房長はじめ並いる幹部の間には、驚きとともに気まずい空気が流れ始めた。 しかし、次の瞬間、こうした空気を見て取ったかのように田中は、「失礼ッ」と言って立ち上がるや、大臣室の洗面所で水道の栓を目一杯開き、バシャバシャと音を立てて顔を洗い、やがて幹部らの前に戻るやこう言った。「すまん。私のミスだった。よし、聞く。次は何の話だッ」。 このときの田中の涙について、当時、“解釈”は二つあった。大蔵省担当記者の話が残っている。 「東大法学部卒のエリート中のエリート官僚の前で、思わず自分の学歴の乏しさがフッと頭をもたげ、寂しさ、悔しさが一気に噴出したのではないかとの見方が一つ。もう一つは、田中一流の巧まざるの人心収攬術の最たるものとの解釈だった」 いずれにせよ、田中はここで「潔さ」を示した。大蔵省幹部らとのこの件でのあつれきは、一瞬に吹き飛んだ。「潔さ」は、あらためて男の魅力の一つを見せつけた格好の田中であった。 ケロリ、田中は持ち前の立ち直りの早さで、なお大蔵省に“砂塵”を巻き上げ続けることになるのである。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年08月25日 12時00分
リオ五輪後の今が危ない! 『ジカ熱ウイルス』日本拡散の恐怖
全世界へ“ジカ熱ウイルス”が拡散する可能性が危惧されている。オリンピックが閉幕し、ブラジルへ出掛けていた人が帰国する日本のこれからが心配だ。 中南米を中心に感染が広がるジカ熱ウイルスの猛威が止まらない。厚労省の発表によれば、今年6月に中南米から帰国した30代男性が日本では7人目(昨年5月以降)のジカ熱と診断され、8月4日現在で55の国や地域で感染が確認されているという。 「リオ五輪の後、ジカ熱ウイルスは世界各地へ爆発的に拡散するかもしれません。日本も決して他人事ではないのです」 こう警告するのは、世田谷井上病院理事長の井上毅一氏だ。 「主に蚊を媒介として感染するジカ熱ウイルスには、今のところ、これといった治療法がない。厚労省はあまり心配していないようだが、ブラジルへ出掛けていた人が帰国するこれからが大変です。大人は症状が分かりにくく、知らないうちに感染していた女性が小頭症の子供を出産するリスクが知られていますが、とりわけ貧血状態の人もなりやすい。体力が落ちているため感染しやすいからです」(井上氏) 蚊に加え、ウイルスは性交渉でも感染することが判明している。 「リオ五輪の選手村では、45万個ものコンドームが配布されていましたが、国によっては毎晩乱交状態だったという話もある。感染した選手が帰国し、自国で一般人にもバラ撒けば、さらに深刻な問題となる」(スポーツ紙記者) さらにここへ来て、マウスを使った米研究グループの実験により、脳へも感染し、成人が脳炎や記憶障害などの症状を引き起こす可能性もあることが分かったというから不気味だ。 「仏パスツール研究所は、ジカ熱ウイルスがギラン・バレー症候群を引き起こす可能性があるという研究結果を発表している。ギラン・バレー症候群は、筋肉を動かす運動神経に障害が生じて手足に力が入らなくなり、思うように動かせなくなる難病。2013〜2014年にジカ熱が大流行した仏領ポリネシアでは、総人口約25万人中42人が発症しているのです」(健康ライター) 通常は10万人あたり1〜2人程度とされている病だけに、発症率としては非常に高く、関連性が疑われているのだ。 「日本で主に生息する蚊のヒトスジシマカは、温暖化により活動期間が延び、10月下旬まで生息するとされる。外国人観光客が急増する今、パンデミック状態になる危険性は十分あります」(同) 「ヒトスジシマカ」は一筋縄ではいかない。
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社会 2016年08月23日 10時00分
“日本の輸送路を遮断” 中国 南シナ海に原子炉20基の暴挙!
明らかに武器を搭載していると思われる中国海警局の公船7隻が尖閣諸島周辺の接続水域に8月6日、相次いで進入。中国籍と思われる漁船約230隻の活動も確認された。緊張をさらに高めるエスカレーションだ。 「7月にハーグ(オランダ)の仲裁裁判所が下した南シナ海の領有権をめぐる裁定に対し、中国政府は『米国がデッチ上げた茶番』と激しく非難しました。今回の行動は、日本が判決を受け入れるよう繰り返し求めていることへの反発と考えられます」(全国紙記者) 中国の強引さはとどまることを知らない。尖閣はもとより、南シナ海の実効支配に関しては、日本のエネルギー危機に直結しかねない問題も浮上している。 「中国共産党機関紙・環球時報が今年4月、中国国内にある原発関連企業が仏アレバ社の技術をベースにした海上移動式の原子炉20基を建設する計画を進めていると報じました。これを受け、資料を分析した日本のエネルギー専門誌が先頃、来年には実証炉が建設され、東京オリンピックが開かれる2020年には実用化される可能性を指摘、そのまま南シナ海に配備される懸念を報じました。原発が海の上にあるということは、船舶によるエネルギー供給遮断のリスクが強まることになるというわけです」(通信社記者) 中国は南シナ海南部のパラセル諸島付近に大型機の離着陸が可能な滑走路を建設し、さらに人工島の埋め立てや陸上施設の建設を進めている。軍事基地はまだ確認されていないが、戦闘部隊が配置されれば数千人規模の要員が常駐することになり、原発の活用は彼らの生活のためにも欠かせない施設になり得る。 「現代紛争は設備に大量の電力を必要とするので、原発はダイレクトに基地の強化につながります。もう一つの利点は、もし軍事衝突が起こった場合、近くに海上原発があれば攻撃をためらわせる効果があることです。何より南シナ海は、中東の原油や液化天然ガスなど世界貿易の半数を超える貨物が通過する最重要輸送路。日本にとってこの海域の自由航行権を確保することは国益そのものと言えます」(軍事ジャーナリスト) 中国政府による“覇権主義”の追求が収まる可能性は限りなくゼロだ。海上原発の設置も、その強化の一環であろう。日本は先の参院選の結果を受け憲法改正論議が高まりつつあるが、“今そこにある危機”への対応が急務だ!
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社会 2016年08月22日 10時00分
“富士山噴火と巨大地震”は連鎖する! 専門家が予測する悪魔のシナリオ
地球の裏で行われているオリンピックをよそに、日本では新たな脅威にさらされている。富士登山大噴火とそれに付随する巨大地震の連鎖である。 富士山には7月1日〜8月31日までに約31万人が登るというから、もし、近年危険視されている大噴火が起きようものなら、大変な被害が起きるに違いない。 歴史を紐解けば、富士山で貞観大噴火が起きた864年の5年後、869年に東北地方で東日本大震災クラスと言われる貞観地震が発生。さらに、その9年後の878年には、関東直下型の相模・武蔵地震(元慶地震=推定M7.4)が起きている。 「1703年に千葉県房総半島沖を震源とするM8クラスの元禄大地震が発生すると、1707年に宝永大噴火が、そのわずか49日後には南海トラフ地震の一つである宝永大地震(推定M8.6〜9)が起きている。そのため富士山噴火と巨大地震の連鎖は、専門家の間で常に指摘されています」(サイエンスライター) これまで多くの地震と火山噴火を的中させてきた、琉球大学理学部名誉教授の木村政昭氏が言う。 「現在の状況は貞観・宝永地震が発生した当時と酷似しています。4月に起きた熊本地震も、近い将来発生が心配される富士山の噴火も、小笠原諸島付近のプレート境界から来るプレッシャーによるものなのです」 太平洋を南に走る伊豆・小笠原海溝沿いと、さらにその南に位置するマリアナ海溝沿いは、従来、せめぎ合うプレートがずるずると滑り、ひずみが溜まりにくいと考えられていた。 「実際に、20世紀にはこのラインで巨大地震が一度も発生していない。しかし、もう少し遡った1605年の慶長地震は、ここを震源とした津波地震とされる。関東での地震動は、さしてなかったが、大きな被害を生んでいるのです」(木村氏) 同じプレッシャーが今、太平洋側から日本列島へかかり、さらには富士山をも刺激しているというのだ。 地震が先か、噴火が先か。歴史を見ても分かるようにケースバイケースだが、7月中旬から頻発し始めている関東地方での中小規模の地震は気になるところだ。 「それらの中にも、小笠原諸島プレート境界からのプレッシャーによる地震が混ざっていると考えられる。関東直下にはいくつもの活断層が存在しますが、プレッシャーにより、いつ大きく動き出すか分からない(前出・サイエンスライター) 連鎖への引き金は、すでに指にかかっている。
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社会 2016年08月20日 16時05分
頭の痒みはもしかして!? 足だけじゃない水虫への感染
夏もいよいよ大詰めとなってきましたが、この夏の間に、足に痒みを覚える、いわゆる水虫と呼ばれる症状になった方もいるかもしれません。 水虫は、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる菌が原因。プールなどでの感染が多いため、夏に増えやすいのです。 今回は、看護師の大木アンヌさんに、水虫や原因となる白癬菌について、症状や対策をお聞きしました。■水虫の原因となる白癬菌 「感染すると強い痒みをもたらし、進行すると水膨れなどの症状になる水虫。原因となるのは、白癬菌というカビの一種です。白癬菌は、皮膚の外側にある角質層に寄生し、ケラチンというたんぱく質を栄養源にして繁殖します。高温多湿の場所を好み、蒸れた状態が続く足への感染が多くなります。プール以外にも、大浴場の足ふきマットや、居酒屋の座敷なども感染しやすい場所です」■白癬菌は足以外にも 「水虫は、足が白癬菌に感染することであり足白癬と呼ばれますが、白癬菌に感染する部位は足だけではありません。手白癬といって、手に同じような症状が出てしまう場合もあります。その菌がさらに爪の隙間に入り込むケースも。他にも、股部白癬。これはインキンタムシとも言われ、特に男性に多い症状で、陰嚢付近の汗で湿った部分への感染です。頭部白癬はシラクモとも呼ばれ、常に帽子やヘルメットを被っている方に多く見られる症状です」■対策はまずは清潔に保つこと 「白癬菌は皮膚に付着してもすぐに角質に入り込むわけではなく、洗えば落ちるものなので、まず清潔にしておくことが大事。発症してしまった場合は、抗真菌薬での治療が基本になります。ほとんどの場合、薬を塗れば完治します。ただ、間違った薬を使ってしまうと、症状を悪化させてしまうこともあります。また、水虫だと思っていたら、ただの湿疹だったというケースもあるので、専門家の指示を仰いだほうがいいでしょう」 痒みがなくなり、見た目にも問題がなくなっても、菌が残っている場合もあるそうです。治ったと思っても、治療はしばらく続けたほうがいいでしょう。夏の症状は、夏のうちに改善しておきたいですね。【取材協力】大木アンヌルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。
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社会 2016年08月20日 10時00分
労働環境改善急務 介護の現場悲痛な叫び
史上最悪とも言うべき相模原市の障害者施設『津久井やまゆり園』の事件。福祉施設関係者は「犯罪は到底許せるものではないが、一方で介護地獄を解消できなければ今後、第二、第三のモンスターが生まれる可能性は否定できない」とおののく。介護の現場に一体何が起きているのか。 『津久井やまゆり園』は神奈川県が1964年に設置、2005年から指定管理者制度を導入し、社会福祉法人かながわ共同会が運営の准県営施設となった。収用人員が157名('16年7月1日現在)、職員は164人(同)。予算も人件費では年間8億5000万円('12年)が計上され、平均年収は推定480万円から500万円前後だ。諸々を考えれば安い報酬ではない。 しかし、介護業界関係者は言う。 「500万円といっても施設のトップから末端までの平均。通常他職の平均より100万から150万円少ない。それでいて、この施設は重度の知的障害者も多く相当きつい仕事。夜間は5人のスタッフで157人を介護していたようで、1人当たり30人。非正規スタッフも数十人いましたが、賃金も相当安いと噂になっていました」 事件直前、地元のハローワークには夜間の生活支援員のスタッフ募集がされていた。その時給が、あまりにも安いとネット上で話題になった。 「募集スタッフは、就業時間が18時〜翌朝8時半までの夜勤で時給905円。介護は高齢者になれば大小便の世話、お風呂、さらには食事と肉体的にも精神的にもかなりきつい。本来は他職種よりも高い報酬を得なければわりに合わない。こんなに安いならコンビニの深夜勤務の方がはるかにマシという話になる。これだけの重労働で全職種中の最低賃金なら大疑問だ」(労働関係に詳しい弁護士) 『津久井やまゆり園』のような強度行動障害者施設では、介護スタッフが我慢を強いられるケースも多い。 「例えば、汚物に触れた手を周囲になすり付けたり、その手でスタッフを殴ったりするというようなこともあると聞く。しかし、スタッフはそうしたものも含めて忍耐強く介助することが求められる」(同) つまり3K、「きつい」「給料が安い」「汚い」の現場。だから離職者が頻繁で、人手不足が常態化しているのだ。そのため、十分な調査もせず不適応な人材を雇い入れることも多い。実際、先の事件の植松聖容疑者が雇用されたときは、すでに全身入れ墨で、薬物にも手を出していた。介護現場の人間はこうも言う。 「就職当時は真面目でも、あまりの現場の人手不足と給料の安さと仕事の過酷さに精神的バランスを崩し、事件を引き起こす場合もある。つまり大事件には至らなくても、介護士がストレス解消に高齢者や身障者を殴ったりツネったり怒鳴ったりと、パワハラやイジメは見えないところでしょっちゅう起きています。例えば、男性介護士が殺人的忙しさのストレス発散で、高齢女性入居者の性器にわざと触れたりというわいせつ行為もあるとか。そうしたことが、やがてエスカレートすると大事件になる。今年2月、3人を転落死させたとして逮捕された川崎市の高齢者施設で働いていた今井隼人被告の事件も、ストレスと金欠が重なった末の犯行です」 今井被告は一昨年、施設に入居していた80代と90代の男女3人を次々とベランダから転落させ殺害。さらに、20回近く高齢者の財布から現金窃盗を繰り返し、高級飲食店通いやプロ野球観戦などに浪費していた。殺人は窃盗容疑の取り調べのプロセスで発覚した。別の介護関係者が言う。 「今井の施設では、夜勤は2人で50人近い高齢者を介護し、15分ごとに何をやるか介護士1人1人にノルマが課せられていた。それに縛られ、多くの介護士がノイローゼ寸前だったとも聞きます。とはいえ、施設側もそれをしないと、人手不足の中、入居者を世話できなくなるというジレンマがあるのです」 安倍政権が掲げた「1億総活躍社会」の目玉の一つである介護職員の処遇改善について、厚生労働省は'17年度に介護報酬を改定する方針を固めた。3年に一度行われる定例の改定では'18年度の予定だったが、処遇改善に限って改定時期を1年前倒しするという。 しかし、それらも「弥縫策(一時的取り繕い)に終わる」と懸念するのは、社会保障に精通する関係者だ。 「国が報酬アップの補助金を出しても、受け取るのは施設。経営が厳しいところは、理由を付けて赤字補填に回してしまうかもしれません」 数万円の報酬アップをしたところで“介護地獄”の解消につながるわけではない。少子高齢化のピークは団塊世代が75歳になる2025年。そのとき不足する介護士の数は、およそ250万人と言われている。
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社会 2016年08月19日 10時00分
“サッカー殿堂入り”のジーコ氏に期待を寄せる政府の思惑
サッカー元日本代表監督・ジーコ氏(63)の日本サッカー殿堂入りが決まった。しかし、同氏に与えられた“称号”はこれだけではない。今後、ブラジル・サンパウロにできる『ジャパンハウス』の特別大使も務めていく。 「ジャパンハウスとは、平たく言えば日本のアンテナショップ。ロサンゼルスやロンドンにも作られ、カフェレストランのほか、文化紹介や企業PRなどが行われます」(政府関係者) 実は、同施設の目的はそれだけにあらず。日本バッシングを続ける中国や韓国に対抗する“前衛基地”でもあるのだ。その設立準備の話が表に出てきたのは、昨年3月のこと。しかし、実際は安倍自民党が政権を奪回した'12年12月から進められていた。 「従軍慰安婦問題もそうですが、中国、韓国は誤った情報を世界各国に流し、日本を追い込んでいきました。それに対抗するには、先駆けて正しい情報を世界に伝え、日本の味方を増やしていくしかない」(議員秘書) 日本の“味方”を増やすため、政府は現地で影響力を持つ親日派に“特別大使”を頼むことにした。米・ロサンゼルスが、大リーグ元ドジャース監督のトミー・ラソーダ氏であり、サンパウロではジーコ氏が務めることになったわけだ。 「ジーコ氏は二つ返事で快諾してくれました。親睦のパーティーを開くとしても、彼が先頭に立てば、ブラジルサッカー界だけでなく政財界の大物が来る。そこで日本のことを訴え、親日派を増やしていきます」(同) 民主党政権時代、こうした海外でのプロパガンダに投じた予算は約30億円。対する中国は5000億円近くを費やしていたという。安倍政権では700億円以上を投じ、形勢逆転を図る。 「監督として実績を挙げられなかったジーコ氏は、日本のサッカー界よりも外務省との関わりが増えていくでしょう」(関係者) どこまで手腕を発揮できるか見ものだ。
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社会 2016年08月18日 10時00分
政治利用されるリニア新幹線のお先真っ暗な“未来予想図”
「未来への投資を大胆に行い、アベノミクスを加速させる!」 安倍晋三首相は先頃、内閣改造とともに打ち出した経済対策について、こう述べた。「事業規模で28兆円を上回る」とも表明したが、見せかけの数字を増やしただけで効果は薄いとの声もチラホラ。国の信用を利用して集めたカネを低利で民間に貸し付ける、財政投融資を含んでいるからだ。 「経済対策に財政投融資資金を投入し、東京ー大阪間のリニア新幹線を当初計画の2045年から'37年に最大8年間前倒しする構想が盛り込まれました。これまではJR東海が自己資金で賄うことになっていましたが、これを国家プロジェクトに格上げする計画です。JR東海関係者は『政府はカネを出す以上、口も出すだろう』と顔を曇らせていますよ」(経済記者) 財投マネーは3兆円規模と見られる。総工費の概算は締めて9兆1000億円。しかし、リニアは難工事が伴い、資材高騰も予想される。ゼネコン関係者は「9兆円で済むわけがない。現時点で少なく見積もっても12〜13兆円は必要だろう」と指摘する。 3兆円規模のカネは、その穴埋めにすぎない。見方を変えれば、政府にはJR東海に恩義を売る一方で、リニアを“国策”に引き上げたい魂胆があったのだ。 「大阪延伸を急ぐべし、との声は当初からあった。しかし、民間企業の計画に政府は介入できない。そこで今回は『アベノミクスを強力に推進するため』などと称し、新たに幹事長となった和歌山県選出の二階俊博氏などが水面下で動いたようだ」(前出・JR関係者) JR東海にとっての魅力は財政投融資ならば金利が限りなくゼロに近いこと。とはいえ、政府マネーの受け入れにはリスクが潜む。 「さっそく、永田町の一部から『東北や北陸新幹線とのアクセスを考えたら東京駅を始発にすべき』とか『名古屋-大阪間の前提になっている奈良ルートを京都経由で再考すべき』などの声が漏れています」(同) いずれにせよ、政治利用されることになったリニアの未来は暗い。
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社会 2016年08月17日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 民進党の自滅
注目を集めた東京都知事選は、小池百合子氏の圧勝に終わった。全体として見ると、自民党が完璧な選挙戦術を取ったのに対して、民進党はあまりに下手だったことがこの結果をもたらしたのだと、私は思っている。 自民党は、増田氏でも小池氏でも、どちらが当選してもよいという両面作戦に出たのだろう。もちろん表面的には、自民党東京都連は「小池氏を応援したら、親族を含めて処分する」という強烈な締め付けをしていた。しかし小池氏は、その制止を振り切って立候補した。当然、小池氏は、除名されるべきだった。ところが自民党は、小池氏を除名していない。さらに安倍総理は増田氏の応援にも行かなかった。つまり、自民党本部は、小池氏を自民党系の候補者として支えていたのだ。 小池氏は、推薦を与えてくれなかった自民党東京都連を敵と位置付けることで、反自民の装いをまとうことになった。そのことが、無党派層の圧倒的な支持につながった。この戦略はかつて、小泉純一郎元総理が自民党の議員を“抵抗勢力”と呼んで、対立構造をアピールすることで国民の支持を高め、結局、自民党の圧勝を引き寄せたのと同じ構造だ。 官邸は、小池氏の圧勝で三つの成果を獲得したとみられる。 一つは、野党連合を粉砕したことだ。参院選で、野党連合は一定の成果を収めた。しかし、今回の都知事選で野党連合を完膚なきまでに叩きのめしたことで、次回衆院選での野党連合を揺さぶることができたのだ。 二つ目は、都連会長である石原伸晃氏のメンツをつぶしたことだ。増田氏敗北の責任は、石原氏に押し付けられる。“ポスト安倍”の可能性も持っていた石原氏の芽は、この敗北で、完全に摘まれたとみてよいだろう。 三つ目の成果は、自民党の利権を守ったということだ。小池氏は当初、都議会冒頭解散と言って、都議会との全面対立姿勢を鮮明にしたが、当選後すぐに「都民の幸福を優先するために都議会と連携する」と方針を転換した。都心部の容積率緩和など、都議会は大きな利権を握っている。おそらく、それは温存されるだろう。 かつて橋下徹氏は、大阪府知事に就任したあと、自らの報酬カットだけでなく、府議会議員や府職員の給与にも大ナタをふるって、改革のための財源を生み出した。小池氏も、公約した子育て支援や防災対策などの施策を推進するためには、行革による財源の捻出が不可欠だ。 日本一高い議員報酬や職員年収に切り込むところから始めなければ、改革は進まない。しかし、私は、議員報酬の削減も、職員給与の削減も、小池新知事は実行せず、結局、不信任案を突きつけられることもないとみている。 一方、あまりに情けなかったのが民進党だ。いまから振り返ると、野党連合にとって一番望ましかったのは、宇都宮健児氏を擁立することだった。過去の都知事選で政策をきちんと作り込んでいたからだ。民進党が宇都宮氏を擁立しなかったのは、宇都宮氏の支援者に共産党系が多いからだろう。そんな狭い料簡では、岡田代表退任後の野党連合はおぼつかない。やはり、自民党の圧勝だ。
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