なぜ検察に狙われたのか、という田原氏の問いに「やはりテレビ局を買おうとしたからではないか」と答え、
「フジテレビが色んな情報収集をして、『とにかく堀江に不利な情報を集めろ』ということになった」「報道部の本当に一部の人たちに、取材をしない記者がいる。取材と称して色んな人たちに会って情報収集をするスパイ(のような人)」
この記者を堀江氏は「波取り記者」と言うとし、「『特命係長 只野仁』みたいな人」と説明。さらには、その記者を堀江氏にけしかけたのはかつてニッポン放送に対する敵対的買収事件で揉めたフジテレビの会長とも述べた。
堀江氏の話に出てきた「波取り記者」は、一部の政治部記者を指す言葉。地上波テレビ局の多局化が進められていた時代、局を増やすためには政治家へのロビー活動が欠かせなかった。そのため、記事を書く記者とは別に、チャンネルの割り当てを受けるために活動する「波取り記者」と呼ばれる政治部の記者が配属されていたという。
しかし、「波取り記者」が出世し、経営に関わるようになると、既存利権を守ることが最大の経営目標となってしまい、インターネットなど新しいメディアへの投資には消極的になり、むしろ妨害する。一方で、役所に命令されればデジタル放送のようなリターンの見込めない投資は忠実に実行するという。そこにあるのはジャーナリズムとはかけ離れた業界体質だと指摘されている(池田信夫『電波利権』<新潮新書>より)。
「買収される側からすれば、当然駆け引きもあるし、相手の出方や思惑をはかり、出し抜くために情報を得ようとするでしょう。しかし、彼のケースに『波取り記者』を使ったかというと、正直どうかな、という面はあります」と、業界関係者は言う。「大企業の買収などの話になれば、そんな情報戦になるのは当然の事。所詮はマネーゲームと踏んで、舐めていた所もあったんでしょうね」
近々収監される予定の堀江氏。収監が目前に迫る中、他にも興味深いことを語ってくれるのか? 興味は尽きない。