自信はまったく揺るがない。2歳王者セイウンワンダーが万全の仕上がりで今季初戦を迎える。
「うん、順調だ。この前あたりとは全然違うから」。領家調教師は歯切れのいい、ハイトーンボイスを響かせた。
強かった。素晴らしい勝負根性だった。前走の朝日杯FS。持ち前の鋭い決め手を生かして、函館2歳Sの覇者フィフスペトル、のちに共同通信杯を勝つブレイクランアウト以下を退けた。不良馬場を大外から差し切った新潟2歳Sに続く文句なしの快勝。だが、その裏では、出走すら危ぶまれるアクシデントがあったという。
「レース前に左前脚が蹄球炎になって、馬房に1週間ほど入れっぱなしだったんだ」。全体重を支える蹄を負傷すると、馬の痛がり方は尋常ではない。1週間動かせなければ、筋肉の衰えも著しい。そんな状況を跳ね返した勝利を背景に抱えながら、この中間は一点の曇りもない仕上げができた。師のトーンが上がりっぱなしなのも無理はない。
「休まず乗り込めたから、体重は変わらないけど、見た目は実にスカッとしている。レース当日はもっと良くなるよ」
初の2000メートルにも、東の強敵ロジユニヴァースの存在にも、強気、また強気だ。「千六だとちょっとしたまぎれで勝ち切れないけど、二千ならその心配もない。ロジ? 並んだらたぶん負けないよ。上がり時計が違うでしょう」。外国産のため、父グラスワンダーが出られなかったクラシック。託された夢に、息子がいよいよ立ち上がる。
【最終追いVTR】坂路を1本登った後にDWで併せ馬。攻め駆けするジェントルフォーク(古馬1600万)を2秒2追いかけ、4F標で合流。ぬかるんだ馬場を気にすることもなく、パワフルな走法で併入した。態勢は九分通り整っている。