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気付いた時には遅い! 心筋梗塞・脳卒中の前兆現象 脚の動脈硬化を見極める(2)

 また、こんな事例もある。糖尿病歴10年の会社員Bさん(62)は定年退職後、家で過ごす時間が増えた。そんな生活を1年以上続けていたある日、胸の圧迫感と息苦しさを感じ、息子さんに車に乗せられ総合病院で診察を受けた。
 検査の結果、心臓の冠動脈が詰まる心筋梗塞が判明し、直ちに冠動脈の血流を再開する血管内治療を受けることになった。Bさんを診察した東京医療センター循環器内科主治医は、そのときの状況をこう説明する。
 「結論から言いますと、心筋梗塞の治療は成功しました。ただ、手術後の診察で新たに脚の異常が見つかったのです。Bさんは、以前から『脚が重くだるい』とおっしゃっていて、最近は歩くことが減ったと話していました。診察すると、やはり脚の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症とわかりました。この動脈硬化症が治らなければ日常生活が制限されるでしょうし、運動もしにくい。そうなると心筋梗塞を再発する恐れもあるので、患者さんと相談の上、脚の動脈硬化症の優先治療を開始したのです」

 閉塞性動脈硬化症は、糖尿病や高血圧など生活習慣病が原因の場合が多く、症状の軽い順に並べると次の4段階に分類できる。
(1)脚が冷たい。しびれる。
(2)脚が痛くて休み休みの歩行になる。
(3)安静にしていても脚が重だるく痛みもある。
(4)脚の傷が治らず、壊疽の部分から切断する。

 事例で示したBさんの例の場合、外出をしなくなった事を考えると、さしずめ(3)の状況か。しかし、この状態も放っておけば既存の糖尿病が悪化し、(4)に移行して脚の切断に至ることも考えられる。
 主治医はそうした悪い流れを断ち切るため、閉塞性動脈硬化症の治療を最優先させることに踏み切り、血管治療を行ったわけだ。

 昨年7月、日本では画期的な医療機器『ZilverPTX薬剤溶出型抹消血管用ステント』が承認された。これは、詰まった血管にトンネルのような内張りをして、血流を確保する医療機器だ。
 Bさんもこの機器を使った治療を受けたわけだが、ステントは動きが激しい太ももにおいても、耐久性と柔軟性に優れている点が素晴らしく、医療機関でも注目している医療機器である。

 血管治療も成功し、すっかり元気を取り戻したBさんは、こう答えている。
 「手術で脚の血管の詰まりが解消されると、あの重だるさがなくなり、脚に痛みもなく軽くなりました」

 では、こうした脚の動脈硬化症をどう食い止めるか考えなくてはならない。医療関係者は、「まず生活習慣病のある人は、その治療を最優先する必要ある」と説明する。
 さらに、主治医と相談の上、ストレス解消を含め、ウオーキングやジョギングなど適正な有酸素運動を行う。運動の継続は善玉コレステロールを増やすことに繋がる反面、激しい運動は危険。無理をせず運動を始める前はメディカルチェックを受けておきたい。
 またバランスの良い食事を心がけること。野菜や海藻類のほか、イワシやサバなど青魚を多く摂取するように心掛けよう。

 最後に、東京社会医療研究センター主任・村上剛医師が注意を促す。
 「近年この閉塞性動脈硬化症は患者数が増え、国内で300万人以上いるとされています。脚に繋がる動脈が血栓で詰まるわけですが、壊死はつま先にとどまらずに、脚全体に広がることがある。糖尿病、高血圧高脂血症、喫煙などが危険因子で、これらを持つ人は血液検査を受けるなど数値に気を付け、生活習慣の改善に努力してほしいですね」

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