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虎が吠える 佐山サトル見参!!(13) 猪木にみる闘いのセンス

 洗練されたプロレスラーのナチュラルな試合が見られると、こんなに面白いものはない。闘いの駆け引きと動きが優雅に自由に行え、観客がかたずをのんで見守るのを堪能できるのだ。藤波さんや長州さんがなぜ各地でファンをうならせるのかは、最後のナチュラリストとして試合を行っているからだ。

 彼たちはデジタルを受けつけず、ナチュラルで試合が展開される。ではいつから学芸会みたいなプロレスになってしまったのか? 一説によるとアメリカの管理プロレスから始まったらしい。
 台本があるような試合とナチュラルとは天と地ほど違う。プロレスが復活するには市民権を上げるしかない。どんなにつくったり派手な動きをやっても、ストロングスタイルでないかぎり市民権は得られるはずはない。観客の方が賢いのである。

 その場でわいても市民権を捨てていることが見えていないのだ。「いくらショーとはいえ受身ができているからプロレスはすごい」なんて思われていること自体が恥である。
 受け身? 高いところから背中あるいは後頭部から落ちてすごいと思われること? 確かにすごい迫力だが、それが醍醐味(だいごみ)だとしたら、そんな悲しいことはない。もし可能なら一回も受け身を取らずに、凄い試合を見られたらどうなるか。
 アントニオ猪木なら可能であった。猪木会長の受けのすごさとは受け身のすごさではない。動きのすごさでもない。戦いのセンスである。よけいなことをせずにガチに徹し、ガチより高度な試合をセンスする。そんな選手が出てくればプロレスは復活するだろう。
 私は外から見る立場でもあるからよく分かるのだ。何度も言うように私は真の武道人間である。
 来年の、タイガーマスク30年記念でものすごい本が出版され、その出版記念を兼ねたイベントが開かれる。歴史も催眠も詰まっているものだ。
 寅年、虎の月、虎の日にそれは行われる。

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