『G1クライマックス28』
▽8日 横浜文化体育館 観衆 4,952人(札止め)
新日本プロレス真夏の最強決定戦『G1クライマックス28』Bブロックの公式戦が行われた8日の横浜大会。アンダーカードに出場したAブロック勢は、最終戦(10日、日本武道館大会)の前哨戦を行った。
反則三昧の暴走ファイトを繰り返し、決勝進出圏内に残ったジェイ・ホワイトは、8.10武道館大会で対戦するEVILとの前哨戦に臨んだ。ジェイは毎回タッグを組むCHAOSのメンバー、ロッポンギ3KのYOHとタッグを組み、EVILはBUSHIと組んだ。
この日もジェイとYOHはタッグチームとして機能しなかった。チームとして機能したEVIL&BUSHIのロス・インゴ勢にYOHは終始捕まる展開に。ジェイはイスを持ち込むなどしてEVILを挑発するが、試合にはほとんど加わらなかった。すると、YOHがジェイと口論するまでに発展。最後は孤立したYOHにBUSHIがMXを決めて3カウントを奪った。
試合後、EVILはジェイが持ち込んだイスを、YOHの首に挟み叩きつけてKOした。ジェイはこの光景を見ていたが、救出には入らなかった。
インタビューブースでジェイは「OK、大丈夫、YOHは分かってくれるよ!これは『G1クライマックス』なんだから!誰にだって犠牲が必要なんだよ。YOHにはそのことはずっと言ってあるし、俺のために犠牲になってくれるはずだ」と強調した。
「だってCHAOSのチームメンバーだし。YOHは分かってくれるよ。彼が俺にとって、縁の下の力持ち的な存在になってくれるんだ。もしYOHが今の俺の立場になったら、きっと分かってくれるだろう」と理不尽な論理を展開。報道陣に対してまくし立てながら控室に入っていった。ジェイが決勝に進出するには、EVILに勝つのが絶対条件だ。
Aブロックで唯一、自力の棚橋弘至は10日のメインイベントで対戦するオカダ・カズチカとの前哨戦を行った。棚橋はデビッド・フィンレーと、オカダ・カズチカは外道とのコンビだった。棚橋とオカダはかつて連日のように闘っていた頃を思い出させるような意地の張り合いを見せて、ファンを喜ばせた。やはり今年のG1は棚橋のコンディションが良い。
試合はフィンレーが外道にPrima Noctaを決めて、棚橋組が勝利。試合後も両者は意地の張り合いを展開、オカダが英語版放送席のテーブルへ上り、ファンにアピールすると、棚橋も負けじと日本語版放送席のテーブルに立ち、ファンを煽った。オカダが敗者側の花道を下がると、棚橋がニュートラルコーナーの2段目に上って挑発した。
オカダは棚橋戦に勝利した上で、ジェイがEVILに負けなければ決勝進出はできない厳しい条件。しかし、インタビューブースでは論点をずらしてとぼけた。「残念なお知らせ。日本武道館、風船禁止だって。もう一回言おうか?大事なことだから。ニッポン武道館、風船禁止だって。どうしたらいいの?今の俺から風船を取ったら、何が残りますか?」と、今シリーズ、ファンに配っている風船の使用を禁じられていることに不満を漏らした。
そんな垢抜けたオカダに対して棚橋は「リーグ戦、14点トップ。勝てばいいだけです。勝てばいいだけ」と自分に言い聞かせるように話す。「5月のオカダとのタイトルマッチは本当に実力差を感じたんですよ。ああ、これは10回やっても10回勝てねえなっていうぐらい思ってた。だけどさ、志半ばで止まることはできないから。みんなどんな未来を描いてますか?今が天井ですか?俺だったらもっと行けるから!」と素直な気持ちを口にしている。
あえてスタイルを変えることなく、キレを戻すことを優先させた棚橋、ファイトスタイルを急変させたジェイ。そして、「明るく笑顔」をテーマにイメージチェンジをしてきたオカダ。それはG1で優勝し、来年の1.4東京ドーム大会のメインイベントで、IWGPヘビー級王者に挑戦することを見据えた戦略であるのは言うまでもない。
新日本プロレスにとって初の日本武道館3連戦はAブロックの最終公式戦で幕を開ける。
文・取材・写真 / どら増田、萩原孝弘