厚労省は「住民の理解が進んで通報が増えたことや警察などとの連携が進んだ結果」と見ているが、児童相談所が相談を受けながら子供が死亡した例も22件あったという。
虐待で死亡した子供は99人で、このうち心中、心中未遂による死亡は41人。心中を除いた58人のうち、43.1%(25人)が0歳児で、生まれた直後に死亡した子供も7人いた。実母による虐待が33人(56.9%)と最も多かった。
厚労省の専門委員会座長である才村純関西学院大教授は「望まない妊娠や10代の妊娠による出産が背景にある」と分析している。
一方、中国では7月から施行された法律が論議を呼んでいる。「改正高齢者権益保障法」という法律で、そこには「常回家看看」と書かれている。つまり、「頻繁に帰省して親の面倒をみなさい」というのである。一人っ子政策をとりながら、市民に「親孝行を法律で強制するなんて、どんな社会だ」「法律で強制したところで感情は伴わない」と、国民の間からは非難轟轟だという。
中国に詳しい政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「中国、朝鮮半島、日本は孔子の儒教の教えが根強く、日本も戦前、親に孝養を尽くせというのが国の教育の基本でした。中国は儒教を脱却して共産主義になったと言われていますが、あれだけの老人大国になると、国の力だけでは如何ともしがたい。そこで、子供に孝養を尽くせと強制しているわけです。翻って日本はというと、せせこましく心が狭いうえに、優しさに欠け、我が子でも平気で殺してしまう。親孝行を法律で強制するのも中国らしいが、日本もそこまで切羽詰まっているということでしょう」
隣国同士、親子関係に大きな課題を抱えている。