問題の行動は、一部のTwitterユーザーが動画を投稿したことによって発覚。それを見ると、撮影者は後方扉の前に着席しており、ほとんど客が乗っていないことがわかる。扉が開きっぱなしとなったバスは数秒走った後、停留所に止まり、運転手は普通に「ご乗車ありがとうございました」とマイクでアナウンス。どうやら悪気があったわけではなく、本当に気が付かなかったようだ。
大阪シティバスの発表によると、当該運転手は大阪市此花区で停留所から発車する際、扉を閉め忘れたまま約140メートル走行し、次の停留所まで走ったのだという。同社のバスは扉が開いたままになっていると走行できないシステムとなっているが、故障で作動しなかったのだそう。
事案は昨年10月に発生し、動画も同日にアップロードされたもので、大阪シティバスに報告も寄せられていなかったが、今月11日に動画を見たネットユーザーが同社に問い合わせを入れ、事態が発覚した。
運転手が後ろの扉を目視することは難しいこと、システムが故障していたこともあり、ネットユーザーは「運転手の点検不足は好ましくない」とはしながらも、「仕方ない部分もある」と同情的な声が上がる。
一方で、この動画を撮影しTwitterにアップロードした人物については、「どうしてその場で注意しなかったのか」「直接言わず開いている様子を見て撮影し、あとになってSNSで拡散するとはやり方が汚い」「動画を撮っているヒマがあったら運転手に教えろ」「バスの安全よりもSNSでの反応を取った」など、厳しい批判が寄せられている。
SNSでの「不適切動画拡散」については、ここ数年相次いでおり、公共交通機関のミスや店員の不手際を糾弾目的で拡散するケースが相次いでいる。そして、今回の件のように「注意すれば済む」ことを敢えて撮影し拡散することで、注目を集めようと考える人間もいる。また、この件を逆手に取り、「SNSで拡散するぞ。誠意を見せろ」と要求する人間も増えている状況だ。
もちろん、明らかに不適切な振る舞いがあり、そのことが闇に葬られているなどした場合は動画拡散もやむを得ないだろう。しかし、ケアレスミスや、注意すれば済むような話をわざわざ動画で拡散することについては、批判の声が出ることも当然だ。
拡散するべきで動画であるか否かをじっくりと見極めたうえで、SNSに投稿する必要があるのではないだろうか。