イギリスに住むヴィニー・パイナーさん(21)は、栄養ドリンクの飲みすぎに注意するように呼びかけている。2017年9月、大学でコンピューティングとコーディングを学び始めて2年目を迎えようとしていた彼は、授業中に居眠りしないようにカフェインが含まれたモンスターエナジーを朝昼晩に1本ずつ、計3本飲んでいたという。そのうち3本では足りなくなり、2017年の12月頃には1日に6本にまで増えてしまった。
そんな生活を7か月ほど続けていた2018年3月のこと、ヴィニーさんはリンゴを食べていた時に前歯が4本折れたという。治療するために訪れた歯科医院で「これまで診た中で最も損傷が激しい虫歯だ」と言われて愕然としたとのこと。 ヴィニーさんは1日に2回歯磨きをしていたが、歯は腐敗して溶けたような状態だったそうだ。
ヴィニーさんは飲むのをやめてしまうと、カフェイン中毒の禁断症状でひどい頭痛や筋肉の痛みに苦しむからと、モンスターエナジーをやめられなかったという。
ヴィニーさんは、前歯4本を失ったこともあり自信をなくし、大学を中退してしまった。また、前歯がないと就職の面接に不利だと、職も探さずほとんどの時間を家で過ごし、「私はゲームデザイナーになろうと思っていましたが、今では私の望みは打ち切られました」と話しているという。
この記事に対し、ネットでは「レッドブルみたいに日本仕様と海外仕様で成分違うのかな」「本当にモンスターエナジーのせいなのか?」「コーラで歯が溶けるって、昔ばあちゃんに言われたけど、それと同じ?」などと疑問の声が上がった。
「コーラで歯が溶けるのか」という疑問に対する医師の解説が存在する。
2015年7月3日号の『週刊朝日』(朝日新聞出版)によると、日本歯科大学新潟病院の佐藤聡医師は「コーラなど炭酸飲料を飲むと歯が溶けるのは本当か」という質問に「食べものに含まれる糖からミュータンス菌によって酸が発生し、口の中が酸性に傾いた結果、歯のエナメル質が溶けていくのがむし歯の原因。コーラで直接、歯が溶けるわけではないが、コーラには糖分が多く含まれるので、こうした噂が流れているのだろう。コーラ以外でも糖分の多い飲みものや食べものをたくさん口にすれば、それだけむし歯リスクは高まる。これとは別に酸性の強い飲みものなどでも、歯のエナメル質は溶けてしまう。これを『酸蝕(さんしょく)症』といい、近年、糖以外のむし歯の原因としてクローズアップされている」と答えている。
モンスターエナジーは糖をたくさん含んだ炭酸飲料。「酸蝕症」のリスクは高いと言えそうだ。ネットでも「ちゃんと飲んだ後に口をすすいでいたのか?」「糖分と酸の威力は凄いんだぞ」「酸性の状態で歯磨きするとよくないって聞いたな」とモンスターエナジー特有の症状ではないと指摘する声も。
しかしネットユーザーが一番気にかけていたのはヴィニーさんの現在のようだ。「歯が溶けたからといってゲームプログラマーの仕事には何も影響しない」「なんで大学中退してるんだ」「1日1缶って書いてあるだろ、こんなんで人生台無しって絶句だわ」と心配するコメントが寄せられた。
過ぎたるは及ばざるが如し。何事もほどほどが一番だという教訓かもしれない。