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阪神JF 新2歳女王はトールポピー

 来春の桜花賞を占う2歳女王決定戦「第59回阪神JF」(JpnI 芝1600m)は3番人気のトールポピー(池添騎手騎乗)が1分33秒8(良)のタイムで優勝、賞金6000万円を獲得した。2着はクビ差でレーヴダムール、3着はさらに半馬身差でエイムアットビップ。1番人気のオディールは4着に敗れた。池添騎手は、このレース初勝利。角居師は昨年のウオッカに続いて、このレース2連勝を飾った。
 予想通りの大激戦だった。4コーナーから進出した1番人気のオディールは、安藤勝騎手が余裕の手応え。バテた先行馬を交わし、外から迫るカレイジャスミンを振り切って「勝利」の2文字がハッキリと見えたかに思えた。
 が、ドンデン返しはそこから始まった。ゴチャつく馬込みを避け、早めに仕掛けて追い込んだレーヴダムール。これまでとは一転し、中団待機のエイムアットビップ。この2頭がゴール前の坂でオディールを激しく追い、交わした。
 ところが、本当の逆転劇の主役は、さらに後ろにいた。4角10番手に位置したトールポピーだ。

 「黄菊賞では2着に負けたけど、あれがこの馬の力じゃない、という証明をしたかった」と池添騎手。あわてず後方を進んだのは「トモが弱いし、まだ馬も若いので」というのもあるが、最大の理由は「早めに抜け出すとソラを使う」ためだ。
 実際、黄菊賞では先頭に立ってフワッとしたところで痛恨の出し抜けを食らった。その結果、1勝馬のまま2歳女王決定戦はハラハラドキドキの抽選待ちとなった。しかし、これをくぐり抜けた時点で、すでに勝利の女神はポピーに微笑んでいたのかもしれない。
 最大の難関を突破し、期待通りの快勝。それにしても、偶然とは思えない過程がポピーにはあった。角居厩舎の所属で阪神JFといえば、思い浮かぶのが昨年の覇者ウオッカだが、このウオッカも黄菊賞2着をステップにしての参戦だった。
 この臨戦過程。無論、狙ってできるものではない。となると、その後、ダービーを勝ったウオッカに続く大物なのか?何やら神がかり的なムードも漂うが、いやいや、歴史的名牝はそう毎年毎年、出るものではない。ウオッカのあきれるほどの強さに、各陣営、お手上げだった昨年とは対照的に、今年の敗戦組は巻き返しへ向け、鼻息の荒さが違う。
 2、3着の騎手たちは「来春が楽しみ」と口をそろえる。4着オディールの安藤勝騎手でさえ、「決着がついたわけじゃない」と言い切った。
 今年は馬インフルエンザの影響で2歳馬の入厩が1カ月半は遅れた。2歳女王を決めるレースとして質、量ともに豊富だったとはいいがたいものがある。勝ち時計の1分33秒8は、同日の500万戦よりコンマ4秒遅い。ラスト3Fに至っては昨年のウオッカより1秒以上遅いのだ。
 この勝利で常にウオッカと比較される対象となったトールポピー。もちろん、人の言葉を理解できない彼女がプレッシャーを感じることはないだろうが…。

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