にわかに信じられない光景だった。それは8月中旬にさかのぼる。方舟マットの聖地ディファ有明内の駐車場に、謎のマークが入った青い軽トラックが駐車されていた。よくよく見てみると、ボクシング界では泣く子も黙るあの亀田のマークが入った車があるではないか。
当然ながら9・5ディファ有明で試合を行う亀田陣営が、現地視察にやってきていてもなんら問題はない。当初はそう推察したが、事情は違った。亀田カーがノア聖地内に駐車されていたのが、たった1回、その1日だけのことではなかったからだ。
8月下旬になると亀田カーは連日のごとくその場所にあった。現地視察やディファ有明サイドとの打ち合わせにしては、あまりにも不自然。どうも腑に落ちない。いったいなぜ亀田サイドの車が駐車してあるのか。周辺取材してみると、意外な情報が浮かび上がってきた。
某格闘技関係者が耳打ちする。「いまさら亀田陣営がただ単にディファを視察する必要はない。あれはノアさんとセッションするためですよ」。やはり亀田サイドが視察にきただけではなかった。なんと5日に試合する亀田がノアと合体するというのだ。
実際のところ8月下旬になると、その亀田の車をノアのスタッフが運転する姿がたびたび目撃された。前出の関係者が続ける。「ノアの聖地で試合する亀田サイドにとって、ホームの力を借りられたら百人力。そのほかにも亀田とノアが協力すればいろいろメリットは出てくるでしょうしね」。
確かに夢も膨らむ。“鉄人”小橋建太や秋山準など、豊富な選手を有するノアと、亀田3兄弟が合体するとなれば、様々な展開が開けてくる。試合前に興毅が小橋からチョップで喝を入れてもらったり、もしかしたらノアの創始者である三沢さんの魂が乗り移り、興毅が三沢さんばりのエルボーを繰り出す、なんて事があったりなかったり…。とにかく考えただけでもワクワクする合体だ。
そればかりではない。「9・5の亀田興行にノアが援軍としてバックアップするのが第一歩なのかな。ただ、これはノアにとってもメリットがあります。だって亀田にはTBSがついていますから」(前出関係者)。方舟マットにとっては亀田との共演を足がかりに、失った地上波テレビ放送の復活の線を手繰ることだって考えられる。さらにはプロレス界とボクシング界の越境合体の効果も十分。亀田とTBSの関係から特番としてボクシングとプロレスを放送するケースすら考えられる。異色の共演で、互いに新規ファンの開拓にもなり“相乗効果”にもつながるというワケだ。
亀田とノアの夢タッグ。世界挑戦を控える亀田陣営に強力な援軍が現れた。