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参院選、巨・神大物OB共倒れに球界衝撃

 0.5差(12日現在)で13日から甲子園で首位・巨人対2位・阪神の首位攻防の熱闘3連戦。その直前の参院選で巨人、阪神大物OBトリオが落選して、球界関係者、OBがショックを受けている。

 現役時代はV9巨人のエース、引退してから巨人軍の投手コーチ、ヘッドコーチ、監督を歴任した堀内恒夫氏。『絶好調』の決めゼリフで有名な、巨人の4番まで打ったことのある人気選手だった中畑清氏。阪神のエースとして活躍、「ベンチがアホやから」の退団時の名言でも知られる江本孟紀氏。実績、知名度ともに文句なしの巨人、阪神大物トリオなだけに、全員落選は、球界にとって衝撃的だ。
 「今の人たちには、堀内、中畑、江本と言ってもわからないのかな。それにしても、ショックだね。全員当選してもらい、政界からも球界を活性化してもらいたいと思っていたのに」。球界関係者の1人はこう語る。期待が大きかっただけに、その反動で落胆も大きくなる。
 自民党からの比例区の堀内氏は「まず当選は間違いないだろう。自民党から頼まれた自称政界のドン、ナベツネさん(巨人・渡辺恒雄球団会長)が担ぎ出したのだから、大丈夫だろう」と言われていただけに、全く予期せぬ落選だ。中畑氏にしても、「たちあがれ日本という少数の新政党からの出馬が不安点だが、中畑清の個人的な人気、知名度から当選有望だ」と政治評論家たちの選挙予想があっただけに、本人もショックだろう。
 「巨人OBの2人は政治に素人だから、育成選手のようなもの。オレは参議院議員の経験者だから、即戦力。阪神OBとしても巨人OBに負けるわけにはいかんやろ」。こう力強く宣言していた江本氏も、民主党同様に与党として逆風が吹いた国民新党からの出馬が致命傷になっている。

 結局、球界出身で当選したのは、近鉄などで活躍した石井浩郎氏1人だけだ。地元・秋田区からの出馬で、ネームバリューに頼らない地道な選挙活動の勝利といえるのだろう。それにしても、巨人、阪神と言えば球界の老舗中の老舗、両リーグで1、2を争う人気球団、しかも、その中の知名度抜群のOB3人だから、全員落選は、球界の地盤低下という厳しい事実を思い知らされた格好だ。
 落選後の3人は明暗を分けそうだ。還暦を過ぎた団塊世代の堀内、江本両氏は、これまでの評論家活動に戻ればいい。堀内氏の場合は、読売グループの最高権力者の巨人・渡辺球団会長からの担ぎ出しという背景もあるのだから、当然、読売グループからの支援を期待できるだろう。読売新聞主催の野球教室、スポーツ報知、日本テレビでの評論、解説の仕事は従来通りに保証されるはずだ。

 歯に衣着せぬ評論で人気のある江本氏は、「エモさんが当選してしまうと、気軽に仕事を頼みにくくなるな」と当選に戦々恐々としていたマスコミがあったくらいだ。落選しても食うには困らないだろう。
 が、まだ50代半ばの働き盛りの中畑氏は堀内、江本氏の2人とは事情が違う。しかも、「監督をあきらめて立候補した」と宣言してしまっている。野球人生をあきらめ、第二の人生として政治家を目指すと、退路を自ら断った形で出馬しただけに、落選したからといって、「もう一度、監督を目指します」というわけにはいかない。かといって、評論家生活も厳しいサバイバルの時代になっており、簡単には戻れない。もう1回、政界に挑戦するのか。落選後の生活をどう決断するのか。「男・中畑清」は正念場を迎える。

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