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AVコーナーという名の戦場

 愛知県豊田市で1月9日に行われた「新成人を祝う会」式典後のパーティーで、ビンゴゲーム景品にアダルトビデオが含まれていたとして波紋を呼んでいる。市の補助金が使われていたことで糾弾された形だが、問題はそれだけではない。

 アダルトビデオは略してAVとも言うが、AVを閲覧したり出演したりできるのは18歳以上であり、新成人にそれを配ったからといって違法ということにはならない。とはいえAVであることを事前に知らされていないことを考えれば、セクハラスやわいせつ罪に抵触することは十分に考えられる。

 仮に当選者がAV好きだったとしても、それはそれで別の問題に波及する。AVは激しく好みが分かれるコンテンツだからだ。それに映画やテレビのように時間があるから観てみるというようなものではなく、ムラムラしてどうしようもない状況で観るものだ。だからレンタルビデオ店のAVコーナーは、戦場のごとき緊張感に満ちている。

 出演者の好みのみならず、シチュエーションの種類やフェティシズムの傾向などなど、自らを慰めてくれる条件を見極めるには、細心の注意が必要だ。何としても後悔しないものを得ようと、ハイエナのように虎視眈々と獲物を物色する。食べ物なら食えれば腹にはたまるけれど、AVは失敗すると何にもならない。

 それどころか選択を誤り行き場を失くした性衝動が原因で、犯罪に向かわせてしまう危険性すらないとはいえないだろう。むしろだからこそ、そういうことにならないためにも絶対に、趣味と合致した珠玉の1本を見つけ出さねばならない。命がけのような心境になっても、決しておかしくないのである。

 AVをはじめとするアダルトコンテンツを犯罪への呼び水と捉え非難する声もあるが、日本の犯罪発生率は先進国の中でも低い。先進国クラブとも呼ばれる国際機関の経済協力開発機構(OECD)が2005年に行った調査では、日本の犯罪発生率は26カ国中25位。しかも5年前より2%減少していた。ちなみに最下位はスペインだったそうである。

 アダルトコンテンツの犯罪抑止力がどの程度あるかは分からないが、少なくとも簡単に無関係といえるものではないだろう。だから税金によるAV購入の是非はさておき、AVそれ自体が糾弾されてしまうのは、いかがなものかと思うのだ。(工藤伸一)

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