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「渋井哲也の気ままに朝帰り」 会話ができないキャバクラ嬢でも気になるわけ

 気になっているキャバ嬢から、キャバクラでよくあるイベントの誘いがあった。指名嬢がいるのだが、その日は運良く休みだった。イベントなのに、休んでいいのか? と思ったのだが、いないものは仕方がない。こっちには好都合ということで、指名嬢とは違うW嬢(21)と話したいがために、店に向かった。

 W嬢が私の席に着く前に、A嬢(20)が最初に付いた。この顔は見た事がある。きっと、2回目だ、と思ったのだが、何の話をしたのかは、まったく記憶がない。それもそのはず。この店に来るようになって4回目だし。しかも、この店は出入りが激しいのだから。

 A嬢はまったく話がうまくない。ちょっと話をしてもぜんぜん続かない。W嬢が付くまでの時間つぶしだから仕方がないか。と思っていたら、

 「名刺をあげましょうか」

 と言い出した。せっかくなのでもらう事にした。A嬢は机で名前と連絡先の他、なにやらメッセージを書いている。その姿を見て、私は、

 「その書き方は不正解だよ」

 と言う。そして、私の太ももを指差して、

 「ここで書くのが正解だよ。そのほうが印象深いし、客もドキドキするでしょ?」

 とアドバイスをした。するとA嬢は私の言う事に素直に従い、太ももでメッセージの続きを書き出した。ちょうど、顔を下げているので、うなじも見える。

 自分で言っておいてなんだが、本当にドキドキしてしまう。その姿そのものだが、素直に反応してしまうところにも萌えてしまうそうになる。

 そのうち、指名したW嬢がやってくる。A嬢は遠く離れた席に着いた。W嬢と話し込んでいると、A嬢が客に対して、私がアドバイスをした通りのことをしている。

 「あ、アドバイスした通りのことをしてる」

 そう思うと、なぜか、A嬢のことが気になりだした。なげに、A嬢のことをW嬢に聴いてみる。すると、とても人気がある、という。まったく会話がうまくないA嬢がなぜ指名が多いのか、不思議に感じた。ますます、A嬢が気になり始める。気がつくと、W嬢と話をしながら、目はA嬢を追っていたのだ。

 そのうち、他の席に移動する。今度はVIP席に行く。この店は、VIP席も一般の席から見えるので、A嬢が確認できる。やはり、ほとんど話をしていない。しかし、そこでは密着をしている。話をしないが、密着できるスタイルが営業なのか? いや、別の客には密着せずに、話を聞いているだけだ。

 もしや、客に合わせて、七変化ができるようなカメレオンタイプなのか? そうであれば、あの会話が上手ではないと判断した話は、この席では、上手ではないふりをしたほうがいいと判断されたのだろうか? あるいは、指名嬢がほかにいるので、あえて、会話の下手なふりをしたのか?

 いろんなことが頭によぎってしまった。結局、W嬢とはいろんなことを話すも、A嬢のことばかりが思い浮かべて、W嬢との会話に集中できないでいた。

 そしてふと気がつくと、客と密着しているA嬢の姿を見て、嫉妬している自分がいることに気がつく。

 しかし悩ませる店である。もともと指名嬢が出来たので、何度か通っているのだが、W嬢も気になって、この日にやってきた。そんな日に気になり始めるA嬢。みんなそれほど私のタイプではないのに、気にさせることは上手なようだ。

 キャバクラに通い始めて、何年経つのか。同じ店で、同時に複数の嬢を気になってしまうのも久しぶりの感覚だ。嬢のテクニックがうまくなったのか。私が嬢に要求することが変わったのか。いずれにせよ、またその店には通い詰めてしまいそうだ。

<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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