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『江〜姫たちの戦国〜』第37回、親心に勝る親思う心

 NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の第37回「千姫の婚礼」が、9月25日に放送された。淀の幼少時代を演じ、『マルモのおきて』でブレイクした芦田愛菜の再登板が話題の今回は、期待に違わず子役の切なさが光った。

 今回のメインはタイトルの通り、千姫の婚礼である。既に秀忠との次女・珠が政略結婚によって僅か3歳で前田家に嫁いでおり、娘と引き裂かれた江(上野樹里)は傷心のままであった。妊娠中であるが、ふさぎ込む江に千(芦田愛菜)は「珠の代わりが生まれます」と励ます。母子の精神年齢が逆転している。
 江は千の婚礼に身重の身で同行する。これは江の女丈夫を物語るエピソードであるが、伏見に到着した江は千に「本当に嫁に行ってよいのか」と尋ねる。これに対して千は「私は父上と母上のお役にたちとうございます」と答える。
 娘の思いに涙を流す江を「母上が泣くと、お腹のややも泣きます」と慰める。天才子役の面目を示す泣かせるシーンであった。幕末の思想家の吉田松陰は「親思う心にまさる親心」と詠んだが、子どもの親を思う心が親心に勝っていた。

 大阪城では三姉妹が久しぶりの、そして最後の対面を果たす。さらに淀(宮沢りえ)の計らいで前夫・秀勝との娘・定(山本舞香)とも対面する。江は幼い定を置いて徳川秀忠(向井理)に嫁いだが、それを定は「豊臣に置いていったと聞いています。ありがたいこと」と答える。ここでも娘が殊勝である。
 婚礼を待つうちに江は産気づき、秀忠との三女を出産する。この三女は初(水川あさみ)の養女になる。これまでの展開では初の「娘をくれ」との強い要望に押し切られた結果と描かれると予想されたが、娘の政略結婚の道具にしないという江の決意を反映したものであった。江の決断を聞いた初の方が驚くほどであった。江にとっては娘を政略に使う徳川家康(北大路欣也)への精一杯の抵抗であるが、子どもの意思を無視している点は家康と同レベルである。

 千も定も親を思う心は感動的であるが、文句ばかりであった同年代の江と比べてバランスを失している。これは親世代に甘くて子ども世代に厳しい現代日本の世代間不公正に重なる。伝統的な大河ドラマ視聴者層が離反気味の『江』であるが、親世代に翻弄されても健気に生きる子ども世代という親世代に都合のいい演出が、高齢視聴者を呼び戻す契機になるかもしれない。

(林田力)

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