「米・オレゴン大学の研究者が、被験者に鮭を毎日、10日間食べてもらった研究では、健常者の場合、血中コレステロール値は最高17%低下し、高脂血症患者では最高20%低下しました。中性脂肪のほうは、健常者で最高40%、高脂血症患者は何と67%も低下したのです」
EPAが中性脂肪を下げる働きは独特のものがあり、血液中の中性脂肪の量が多すぎると、全身に指令を発して、中性脂肪を分解する酵素を作り出させる。そうすることによって、中性脂肪値が高くなりすぎるのを防ぐわけだ。
「EPAは、魚の脂肪に多く含まれている脂肪酸で、いわし、あじ、まぐろ、さば、鮭などの、青魚に特に多く含まれている。いわしの魚肉100グラム中に含まれている量は、種類によって異なるが、0.4〜1.4グラムになります」(同)
EPAの効用について、千葉大学が疫学調査を行ったのは1980年のこと。場所はカツオの水揚げ基地として知られる千葉県の勝浦と内陸の柏だった。
その結果、興味深い成果が得られたという。
「魚の摂取量は、勝浦の人たちの1日平均250グラムに対して、柏の人たちは80グラムと少なかった。さらに血液を調べてみると、驚くべきことに柏の人は血小板凝集能が高く、赤血球変形度は低かったのです。この成果は、世界中の研究者の注目を浴びました」
ここでいう血小板凝集能とは血液の粘度をいい、血小板凝集能が下がれば、血液の粘度が下がって赤血球の変形度は高くなる。つまり、血液はサラサラになるのである。
対し、柏の住民は血液がドロドロ。青魚を食べるのと食べないので、ここまで違いが出たというわけだ。
田村氏が続ける。
「毎日青魚を食べてEPAを摂っていれば、中性脂肪は下がります。しかし、なかなかそうもいかず、魚を食べない日が続くような場合には、サプリメントで補うべきでしょう。ただ、サプリメントはEPA、DHAの純度を一定に保つことが難しく効果が上がらない場合もあるので、選ぶ場合は慎重にした方がいいでしょう」
登場した鈴木さんは、食いしん坊のため、魚の効果を知った後は、いわし、アジはナメロウ、鮭はムニエル、サンマはお寿司にと、グルメ三昧。
「サプリメントの効用はわかりますが、どうせならおいしく食べて、中性脂肪も下げたいと思いました」
と鈴木さん。
ただし、魚を食べながら酒の量が増えてしまっては、せっかくの努力が無に帰すると戒めている。
日本人の本来の魚食でメタボ改善を目指してみてはどうだろうか。