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ケイリン徒然草 最近の競輪ファンはおとなしい

 いまだに意味がわからないのが1月に競輪祭を開催していることだ。だいたい競輪の発祥は小倉なのだから競輪が始まった昭和23年11月を記念して11月に行うべきなのではなかろうか。

 今年11月は競輪が開催されてちょうど60周年。この記念すべき時に競輪祭が開催されないとは、歴史はすべて忘却の彼方に飛んでいってしまったようである。
 しつこいように書くが競輪ほど歴史を大事にしない競技も珍しい。昭和の歴史なんかはくどいように語りつがれているが、競輪の歴史はあっさりとしたものだ。レースが終わるたびに忘れ去られてしまうのだろうか。
 最近のファンはおとなしい。多少おかしな判定があっても、そんなものかと思って苦情もいわない。
 昔のファンには熱があった。時には過剰なくらいに。納得がいかなければ、開催本部に押しかけて投石も辞さない。それがいいことか悪いことかは別にして、ファンには熱があった。
 考えてみれば、今の日本人はおとなしいものだ。税金が高くなろうが、老人医療費で高額な金をとられようが、熱い反対運動は起こらない。
 60年、70年安保の時はものすごい群衆のパワーがあった。競輪でも騒擾(そうじょう)事件は各地で起きていた。納得のいかないことに対しては熱く戦ったのだ。
 「ファンが大人になったのさ」と関係者はいう。冗談じゃない。大人どころか年寄りばかりになったのだ。おかしい判定やなにかにクレームをつけるエネルギーもなくなったのだ。
 63年の後楽園騒動の時はびっくりした。まだ駆け出し記者だったが、すぐに後楽園に飛んだ。人気の大津保(神奈川)が惨敗して、しかも西武園の全国選抜争覇競輪で強かった近藤重光(熊本)も気力のないレースをしてしまったからだ。あっという間に火の手があがった。
 その光景を撮影したカメラマンは車券売り場の屋根から降りられずに、ファンの罵声を浴びた。
 この事件があって、競輪場での場内撮影は禁止となった。初めて競輪を見にきた人が記念撮影すると警備員が飛んでくる。すごい勢いでフィルムまで没収されかねない。おいおい、競輪は軍事機密なのか…と思わせたくらいだ。
 写真を撮られたファンからのクレームもあったらしいが、肖像権なんてそんなにうるさい時代ではなかった。ただ、会社をさぼって競輪にきていたファンも多かったから具合の悪いこともあったかもしれない。
 なにかギャンブルをやるのは悪人とまではいかないが「ろくなものじゃない」という風潮は確かにあった。そんな世相が撮影禁止にしたのだろうが、記念撮影くらいはいいのではないか、と思ったこともある。自治体の歳入に貢献していたことを知っていたからだ。

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