麻生首相は2日の参院本会議で、世界的な金融危機への対応に言及。4月2日に英ロンドンで開かれる金融サミットなどを通じて「健全な規制の強化、国際協力の強化などについてグローバルな視点でリーダーシップを発揮しなければならない」と語気を強めた。
その意気込みやよし。しかし、全国紙政治部記者は「それまで政権が持つか、はなはだ疑問、持ちこたえたとしてもリーダーシップうんぬん以前の問題がある」という。
「世界中が注目するサミットでイージーな言い間違えなどしたら、それこそ笑いもの。出かける前に英首脳をはじめサミット出席者の名前ぐらいはしっかり覚えておかないと(笑)」(同)
一部報道にあった通り、先ごろスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で講演した麻生首相は、同行記者団に感想を述べる中でヤッてしまった。英国のトニー・ブレア前首相を「トニー・ブラウン」と間違えたのである。
情報を総合すると、麻生首相は「トニー・ブラウン」と3回連続で言っている。秘書官の指摘で、「あっ、トニー・ブレア」とあわてて訂正したという。記事では、この日、ブラウン英首相と話したため、混同したのだろうなどとフォローまで入れられている。
永田町関係者は「こうした言い間違えがニュースになるのが情けない。“誤読”はいまや首相の代名詞。この発言の直前、記者たちに囲まれて不必要な嫌味を言ったことも影響したのではないか」と指摘する。
嫌味とは、講演を終えた首相に評価する声があったかを訪ねた記者団に「(評価する声は)ものすごく多かったと思うけど、誰にでも言っているかもしらん。オレたちは裏を取るから。新聞記者は裏を取らないで書くけど、オレたちはそんなことはしない。分からない」などと述べたこと。
前出の永田町関係者は「漢字の誤読に、今度は名前の間違えでしょ? ブレア前首相の面前でなかったのが不幸中の幸いでしたよ。振り返れば『ホッケの煮付け』発言とか、もはやブッシュ前大統領の域。しかめっ面でユーモアをまったく感じさせないから余計にタチが悪い」と首を振る。
ブッシュ氏は在任中、でたらめな英語とかみ合わない受け答えを連発して妙な脚光を浴びた。その発言は「ブッシュ妄言録」(ぺんぎん書房)として出版されたほど。文法はめちゃくちゃ。大統領選中のテレビ出演では「僕とダディ(父親)は違う世代の人間なんだ」と当たり前のことを言ったり、英ロンドンで子供に「ホワイトハウスはどんなところですか」と尋ねられて、「白いよ」と答えたのは有名だ。米同時多発テロから2年後の追悼式翌日には、「2年半前…」となぜか半年付け加えるミスを犯した。
麻生氏もまたカップめんの値段など一般常識を知らなかったりするあたりは、ブッシュ氏に匹敵する。国際会議の場でユーモラスな迷言が飛び出すようになれば、“東洋のブッシュ”と呼ばれるかもしれない。
○海外でのびのび!? 漢字誤読“固め打ち”
麻生首相はダボス会議の特別講演中、周囲が日本語を知らないのをいいことに漢字の誤読を連発した。
「決然(けつぜん)」を「けんぜん」、「見地(けんち)」を「かんか」、「基盤(きばん)」を「きはん」と“3安打”の固め打ち。聴衆は翻訳された英語などで話を聞いたため、同行記者らしか間違えに気付かなかったとみられる。
国内ではさすがに慎重にしゃべるようになってきた麻生氏だが、それでもちょこちょこ誤読しているという。共同通信の配信記事は「今回は国会日程の合間を縫った強行スケジュールで疲れが出たか、あるいは外国人を前にした日本語講演で気が緩んだか」と気遣いながら原因を推測。まず十中八九、気が緩んだだけのことだろう。
監視の目がない? 海外で、のびのびと誤読を満喫した麻生氏。本紙選定のインパクトある間違え方ベスト3は「未曾有(みぞう)→みぞゆう」「踏襲(とうしゅう)→ふしゅう」「怪我(けが)→かいが」で順位に変動はない。