金もあってルックスもいいという、最強コンボでモテまくりの男性がいる。この男性、モテ過ぎからキャバ嬢攻略時の高揚感が得られなくなり、さらなる“落ちない女”を求め彷徨うハメに…。
その挙句、現在はプライドだけは高いブスキャバに走ってしまった。モチベーションこそ違うものの、容姿が不自由な女の子ばかりが集うキャバクラにハマり、ブーちゃんと華燭の典を上げたのが、高田宗佑さん(仮名・42歳)だ。高田さん、特許で一財産築いた祖父を持ち、権利を含む遺産を相続。自身も高級輸入家具の会社を経営するセレブである。若い頃に一度結婚したが、わずか1年で破綻。以来お付き合いするのは水商売の女性限定で、赤坂、銀座の高級店で夜の世界を楽しんで来た。
しかし、3年ほど前、自分のホームグランドにも、遊び方にも、女性にも、全てにうんざりしてしまった。ベストセラー作家でもある銀座ママが書いた、一冊の本が原因だった。
「彼女の著作の中に、明らかに私と思しき人物が登場してるんです。銀座の“粋”が分からない最低客のサンプル扱いで。言動や性癖まで上げ連ねて揶揄してるんです」
単純に美人に飽きてしまったということにも気がついた。
「加えて言えば、打てば響くのに疲れたんですよ。知性や教養をさりげなくひけらかすような、そんな自己顕示欲を見るのが耐えられなくなりまして。銀座が息苦しくなったんです。もっと素朴な普通の子と触れ合いたい…分かりますか?」
それならば地方に行ってみるがいいですよ。 いずれにしろ銀座を後にした高田さんは、可愛がっていた夜遊び通の社員をナビゲーターに、六本木、新宿と流れ歩いた。
「この辺のキャバクラの子は、明るくて、ちょっと浅はかでそれも可愛いんだけど、派手過ぎるし、ギラギラしている。まあ、銀座みたいにギラつきを隠しているより、出している方がよっぽど好きではあるんだけど」
そこで、もっとこう地味な子はいないのか、素朴な子がいいのだと、ナビ社員に一生懸命説明を繰り返した。
<ゲットした花嫁の顔がロバに見えてくる>
それならばと連れていかれたのは、新宿のキャバ通の間では歌舞伎町の“お化け屋敷”とも囁かれる某クラブ。 最果てを見せればショックで気を取り直すだろう。そんな粋なはからいなのか、単にさじを投げたのか。しかし、予想に反して社長は、「そうそうコレコレ!」とばかりにご満悦である。
「私だって、ここが質の良くない店だっていうのは分かりますよ。でもね、性に合ったんですね。女の子たちのギラギラ感、ガツガツ感が、どこか取って付けたみたいに空回りしてるのがしっくり来る」
次回以降、ナビ社員はお供を固辞したそうだが、高田社長は足繁く通い詰めた。お気に入りの女の子は、シャクレたアゴがチャームポイントのM嬢。うっかりすると繋がってしまいそうな眉毛もまたご愛嬌である。
「好きな食べ物は“なめ茸”とか言って、可愛いんだよ。なめ茸って響きがいいよね。何かは知らないんですけど。それにね、今度の休みにどこか行こうかって最初に誘った時に、行きたい場所が“動物園”だっていうから邪気がないよね。普通は行きたい場所=行きたい店が常識でしょう」
あまりに高級な女性と接して来た後遺症が出たとしか言いようがない。あるいは、魔法にかかってしまった。動物園でのM嬢は生き生きとハシャいでおり、その姿を見てまた愛しい気持ちが込み上げた。そして、真剣交際を経て1年前に入籍。
幸せを力説する高田さんだが、実はこの頃ちょっと心配なこともある。それは、どうかすると妻の顔が疲れたロバに見える時があること。
そろそろ魔法が解けてきたのだろうか…。