秋の中距離GI路線を席巻するウオッカとダイワスカーレットの2大女傑。短距離路線のスプリンターズSも、牝馬のスリープレスナイトが快勝した。そんな強い女の勢いはマイルの領域でも無視できない。
ブルーメンブラットが素晴らしい状態に仕上がっている。休み明けだった前走の府中牝馬Sを叩かれ、調子はほぼピークまで上り詰めている。
12日に栗東坂路で行われた1週前追い切りは、時計のかかる馬場状態にもかかわらず、800メートル53秒6→39秒2→12秒9の好タイムをマークした。軽く仕掛けられただけで、首を上手に使い、四肢を躍動させた。470キロ台の馬体はたくましく、実数よりずっと大きく見せている。毛づやも文句なしだ。
「時計はもっと出そうと思えば出せた。53秒台は余裕だった。前走は休み明けで、まだまだの仕上がり。正直、叩いてからと思っていたので、その分の上積みはかなり見込める。息の入りとか随分良くなったからね」と古川助手はうなずいた。
その前走は、まさにうれしい誤算だった。デキは八分、自信五分で挑んだが、結果は快勝。粘るGI馬カワカミプリンセスを後方から難なく差し切った。得意の東京だったとはいえ、距離はベストとはいえない1800メートル。最近はマイル以下を中心に使われ、1800メートル以上は一昨年の秋華賞以来だった。そんな厳しい条件でつかんだ重賞初Vは、今回への大きな自信となった。
「あれだけ頑張ってくれたのは本当に収獲だった。夏を越して体がひと回りたくましくなったのが充実につながっているんだろう」
先週のエリザベス女王杯にも登録したが、陣営に迷いはなかった。「二二は長いし、初めから距離がベストのここに的を絞って調整してきた。牡馬が相手でも、今のデキなら十分やれるはずだから」
ノースフライト、シンコウラブリイなど以前から牝馬が活躍したこの舞台。名牝の歴史に、ブルーメンブラットも名を連ねるときがきた。