電気関係の専門学校に進学し、卒業後は電気会社でサラリーマンに。馬とは無縁の生活を送っていた。だが、実は厩舎生まれの厩舎育ち。父の川島和美調教師は元騎手で、トレーナーとしても829勝以上(※地方競馬全国協会の記録が1973年以降のため)を挙げた名伯楽。近年ではロイヤルエンデバーで2001年埼玉新聞杯、02年テレビ埼玉杯を制し、昨年に引退を迎えた。豊師は、文字通りのサラブレッドだ。
きっかけは会社を辞め、職探しをしていた時だった。和美師に声をかけられ、「小遣い稼ぎ程度」の気持ちで足を踏み入れてからは、あれよ、あれよという間に競馬の世界に傾倒。北海道・日高のクローバーファームで育成や馬乗りを勉強し、父の厩舎で厩務員→村田貴広師の下で調教師補佐を務め、晴れて独立した。
まさに“カエルの子はカエル”。「休みの日も馬が気になって仕方がなくて、開業した8月は一日も休みを取っていない」ほどの熱血ぶりだ。
現在は「『聞くは一瞬の恥』をモットーに、父やいろんな人に話を聞いたり、見たりして質の高い自分なりの調教方法をみつけていきたい」と強い馬づくりを模索中。「新しモノ好き」の元技術屋は発想も実に大胆だ。旋回癖のある馬の前に、巨大な鏡を置いて注意を引きつける突拍子もない“実験”をしてみたり…競馬の世界にいなかったからこそ気づく点もある。
試したいこと、勉強したいことはまだまだたくさんある。その探究心がいずれは厩舎を進化させていくだろう。ちなみに、花嫁さんも探しているとか…。