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平和な江戸時代が始まったことを示す彫刻 日光東照宮の「眠り猫」

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画像はイメージです

 江戸幕府を開いた徳川家康が眠る、日光東照宮。家康を「東照大権現」として祀る東照宮では、極彩色のさまざまな彫刻が社殿を飾っている。寺社仏閣の建築には、装飾として縁起の良いものがモチーフとして用いられている。東照宮でも龍や象など、神道や仏教で瑞獣や神獣とされるものが多くある。しかし、中にはメッセージ性を持つ変わったものも存在するのだ。

 そんな東照宮の不思議でかわいい彫刻が「眠り猫」である。眠り猫は東照宮東回廊の中ほど、家康が眠っている奥宮の参道入り口に存在するのだが、この眠り猫は人々がイメージするよりもずっと小さいのである。書籍やテレビではカメラが「寄っている」ため大きく見えるが、実際は他の彫刻に比べると埋もれてしまうほどのサイズなのだ。

 そんな小さく、穏やかな彫刻が家康の墓所へと続く参道の入り口にあるのには、ちゃんとした理由があると言われている。一説には、奥宮の入り口であることを踏まえて「不浄なものは鼠(ねずみ)一匹通さない」という意味が込められているという。眠り猫は横から見ると目がちゃんと開いていて、起きていることが分かる。小さな体を丸めているように見えて、猫が獲物に飛びかかる前のように、足に力を込めているように見えるのだ。

 そしてもう一つの説は、戦国の世が終わり、平和な時代が訪れたことを象徴しているという説だ。眠り猫の裏には雀の彫刻が存在する。飛びかかろうとしている猫が本当に起きているのであれば、雀は食べられてしまう位置関係だ。しかし、猫は居眠りを選んで雀と共存している。ここから、江戸時代という平穏な時代が始まったことを意味しているとされているのだ。

(山口敏太郎)

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