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推定2800万人を悩ませる「腰痛の正体」(2)

 今回、厚労省が示した腰痛治療指針では、慢性腰痛では抗不安薬、抗うつ薬も有効な治療薬として挙げている。また、鎮痛薬などが効かず心理的な影響が疑われる場合は、整形外科医らが処方するとしている。
 最近は、慢性的な腰痛を訴え、整形外科医などから「心因性の腰痛」という診断が出されことが多くなっていることも事実だ。

 多摩北部医療センターの整形外科担当医はこう説明する。
 「腰痛の原因はさまざまで、背骨に異常があるものや外傷や全身の病気が原因になっているものなどがあります。しかし、検査をしても腰痛を引き起こすような骨の異常や病気が見当たらない場合もあります。また画像所見で骨に異常が見られたとしても、それが訴えていることが腰痛の原因でないことも多くある。こうしたケースの中に、心因性腰痛がかなりの部分で含まれていると考えられます」

 さらに、同医師はこうも付け加えた。
 「慢性腰痛を訴える患者さんの8割に抑うつ状態が見られるといわれています。精神的な外傷やストレスなど心の問題が大きく関わっているのは事実でしょう。人間関係における悩みや自分の仕事に対する評価への不安、生活環境の問題など、さまざまな問題がストレスとなって腰痛を引き起こしていると考えられます」

 では、こうした心因的な要素が関係する腰痛をどうしたら防げるのか。
 NHKの情報番組『ためしてガッテン』でも腰痛問題を取り上げており、そこでも「腰痛の85%は原因不明」として、腰痛の主犯と考えられていた「椎間板へルニアさえ犯人じゃない! いま、50年に1度という大発見がありました」と、「脳」と「腰痛」の意外な関係を解き明かす内容を放送し、「腰痛には国民的な大誤解がある」とし、ヘルニアを切除して神経の圧迫がなくなったのに痛みが消えない人、逆にヘルニアがあるのに痛みが出ない人が続々見つかった例などを紹介。「ヘルニア犯人説は、腰痛に必ずしもあてはまらないことが明らかになってきた」と説明している。
 さらに、「脳」と「腰痛」関係についても、酷い腰痛患者の妻に夫が犬を買い与えたところ、世話に夢中になり、痛みを考えなくなり活動的になった例などを挙げ腰痛を断ち切るには、「自分の好きな事をする。食べ物や音楽など自分の好きな趣味を取り入れることで脳が活性化する」というのである。
 まさに、興味や喜びなどを喪失、精神活動の低下したうつ症状の人や罹患者に当てはまるような内容だが、こうしたことで腰痛という悪魔の激痛から逃れられるなら、ぜひ取り入れたいものである。

 とはいえ、自己判断は避け、専門医の診断を受けながら治療方針を決めることが大切。
 北里研究所病院リハビリ技術部の新井雄司理学療法士は、
 「運動不足は腰痛を招きます。腹筋が弱過ぎても、腹筋に比べ背筋が弱過ぎても痛めやすい。また運動過多も腰椎分離症になる恐れがあります。普段の立ち姿勢や座る時の姿勢を含めて、専門医の指導をきちんと仰ぐ必要があります」
 と説明する。

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