大関の勝ち越しは2ケタ、といわれるが、合格ラインの10勝に到達したのは稀勢の里と琴奨菊の2人だけで、6大関の半数の3人が8勝7敗。日馬富士に至っては千秋楽に逆転優勝の目が消え、気落ちした白鵬に勝ってようやく勝ち越しを決める体たらくだった。
稀勢の里の情けなさは改めて言うまでもない。11日目を終えた時点で後続に2差をつけ、さあ、優勝してください、と言わんばかりの状況だったのに、勝負どころの最後の4日間で1勝3敗。プレッシャーに対する弱さ、先天的な脇の甘さなど、精神面、技術面の弱点も多い。
「こんなビッグチャンスをものにできないんだから、もう優勝はできない」
と話す親方もおり、これからも稀勢の里が“日本人力士期待の星”であり続けるにはたいへんな努力を要しそうだ。
この稀勢の里以上にファンの失望を買ったのは琴欧洲。前日、勝ち越しを決めたばかりの14日目、格下の旭天鵬に上手投げで叩きつけられて右足を負傷し、千秋楽の朝になって突如、休場。3敗の栃煌山が不戦勝になったため、逆転に虎視眈々の白鵬ら4敗組の優勝の目が消えるなど、優勝争いに大きな影響を与えてしまった。
土俵上のケガが原因とはいえ、もっと早く休場を申し出るなど、やりようはあったはず。あまりにも無責任な戦列離脱に超満員の館内はブーイングの嵐。八角広報部長(元横綱北勝海)も、
「這ってでも出てきて欲しかった。朝早くから入場券を求めて並んでくれたファンはどうなる」
と怒りを隠さなかった。
千秋楽翌日の横審で「10勝以上できない大関は降格さすべき」という厳しい意見が飛び出したのは当然。これで毎月の給料が宿あり、食事つきで234万7000円。
せめて、7月場所には期待したいものだ。