初のタイブレーク方式の末、11回に岩瀬仁紀が連打を浴びて4失点。その裏に日本も2点を返したものの、1次リーグ最終戦を勝利で飾ることはできなかった。
試合の結果次第では準決勝の相手がキューバ、韓国のいずれかに決まるとはいえ、勝敗に必死になる状況ではない。
星野仙一監督は「(首脳陣で)流れに任せようと。選手に『負けろ』とは言えないだろ」。小細工せず、選手の調整に主眼を置く狙いが透けて見えた。
日本の先発は13日の1次リーグ初戦で敗れたダルビッシュ。この日は内外角に快速球をビシビシと決めた。制球に苦しんだ変化球もほぼ好調時の軌道を描き、2回3奪三振と完ぺきなピッチングを披露。「いい感じで投げられて良かった。しっかり調整できたと思う」とダルビッシュは充実感をにじませた。
キューバ戦で5回途中までに7安打、5四死球と、ふがいない投球をした自分を責めて頭を丸めたが、その効果は絶大だった。「自分の球を投げられた」と切り落とされた髪の分だけ体も軽くなったのか、球の切れが戻っていた。
大野豊投手コーチも「力強い球を投げていた。これで決勝まで行けば、いい状態で待機できる」と若きエースの復調を喜んだ。
ダルビッシュの後を受け、3回からマウンドに上ったもう1人の丸刈り、田中もメジャー予備軍を相手に気迫のピッチングで5回を無失点に抑える快投。星野ジャパンは敗れたとはいえ、結果的に2人の丸刈りの活躍で試合終盤まで好試合を演じてみせた。
現地で取材するスポーツ紙記者はこう指摘する。
「米国戦でチームを引っ張っていたのは、間違いなくダルビッシュとマー君(田中)でしょう。2人とも気迫を前面に押し出したピッチングで、丸刈りはダテじゃないと感じさせた。気合の表れだったんだろうね。球にも気迫が乗り移っていた」
ベスト4に残ったのは日本が1次リーグでいずれも敗れたキューバ、韓国、米国。今後は1度敗れたチームへのリベンジがテーマになってくる。とりわけ22日の準決勝で再激突する韓国は、野球に限らずサッカーなどでも、日本戦となると目の色を変える宿敵。まして韓国は金メダルを獲得すれば兵役免除という“ニンジン”をぶら下げられ、モチベーションをさらに上げている。退けるには相当な闘志が必要となる。
現地では韓国戦に向け、こんなアイデアが持ち上がっている。
「復活したダルビッシュや田中に習って、いっそのこと選手全員が丸刈りにして気合を入れ直した方がいいんじゃないか。特に湿りがちな打撃陣なんかは、気持ちを引き締める意味でもバッサリとやるべき。韓国戦は、それくらいの気合と覚悟を持って臨まなきゃ勝てないよ」(フリーのスポーツジャーナリスト)
星野監督も米国戦後のテレビインタビューで打撃陣については「もう1歩というか、3歩、4歩だね」と不満げだった。
韓国戦では先手を奪うことが重要。米国戦のように、後手後手に回っては致命傷になりかねない。まずは気迫で韓国ナインを圧倒するしかない。4年前のアテネ大会で涙をのんだ準決勝突破のためにも、星野ジャパンに丸刈りが求められている!?