情状証人として出廷した母親は、高校時代の藤田被告と被害者の関係についてこう語った。
「息子の性格が変わったのは高校2年生のとき。Sくんによるイジメだったと思います。1万5000円を取られたって言っていたり、ゲームキューブを持っていかれたということで、どちらも何度も催促したけど戻ってこなかった、と本人から聞きました」
さらにこう続ける。
「すれ違ったときに叩くとか、弁当に消しゴムのカスやジュースを入れられた、女の子の胸を揉むように執拗に言われた事がある、と」
また、当時の藤田被告は「生まれなければよかった。アイツが死ぬか俺が死ぬかのどちらかだ」とも語っていたといい、思い詰めていた様子が窺える。
グレーのTシャツにジャージを着て、無表情で被告人席に座っていた藤田被告は、被告人質問で動機をキッパリと「仕返しです。イジメを受けていて」と述べた。
検察官「なんで今更仕返ししようと?」
藤田被告「今更…?」
裁判官「今回の事件、あなたの行動にどんな問題があったと思いますか?」
藤田被告「加害者側の心に問題があったというんですか?」
裁判官「3カ月、勾留されてどうですか?」
藤田被告「酷い事してしまったと思ってます…」
やはり、やり取りの端々に消えぬ恨みが見え隠れする。しかし、一方の被害者は調書で「一方的にいじっていた訳ではない。お互い友だちだと思っていた」と語っており、両者にはかなりの温度差があった。
イジメられた側の心の闇は深い。