古代中国では春秋戦国時代頃に、数字への研究が高まった。当時の数術家、道家、儒家なども数の概念で、宇宙の形成を解釈しようと試みた。「老子」の第42章に「道は一を生ず。一はニを生じ、ニは三を生じ、三は万物を生ず」と書いてある。
また、当時は数字自体にもそれぞれ意味があると考えられていた。一は「元気」、ニは「陰気と陽気」、三は「天地が合うと万物を生む穏やかさを指す」と思われてきた。古代中国人のこれらの三に対する崇高な思いが、そのまま古代日本に伝わったと考えられる。その為に日本では三が特に重要視されたと思われる。
日本に古くから伝わる慣習として、結婚式で行われる「三々九度の杯」や「万歳三唱」と言った慣習が存在する。更に、3を基本とした言葉も数多く存在する。「三種の神器」「世界三大美人」「三筆」「御三家」「三度目の正直」「早起きは三文の徳」「石の上にも三年」等と言った言葉が多数存在している。また、日本人は一・三・五・七等の奇数の内から3つとって、子どもの成長を祝う七五三の行事にもそれらを見ることが出来る。
その逆に、日本では数字の四や九が嫌われている。四は読み方までも音読みではなく、訓読みで読む習慣がある。音読みでは「シ」と発音し、それは「死」を想像させるというからである。同じ意味から数字の九も嫌われている。それは「苦」を想像するからだと言われている。病院の病室でも「4号室や9号室」がないと聞く。その理由は縁起が悪いからだと言われている。
隣の国の中国では、偶数が好まれ、中でも数字の8が一番好まれる数字であるというのも、興味深いものである。
(藤原真)