2006年6月の帝王賞以来、2年半ぶりに戦列復帰したカネヒキリだったが、ステップレースに選んだ武蔵野Sは9着に凡走。あの敗戦で、かなり人気を落している。
確かに前走は一応の気合乗りは見せていたものの、どこか集中力に乏しく、馬体の張りも必ずしも本物ではなかった。しかも、最内の1番枠がたたり、終始他馬にコスられ、直線では前をカットされる不利。密集した馬群の中で、怒って掛かりながら走っていた。だから手綱は「引っ張った」まま。でも、ハミが掛かればグンと弾けそうな素振りも見せていた…と感じたのは小生だけではないはずだ。
前走後は武蔵野S組ではいち早く調教を再開。何とレースの3日後にプールに入り、坂路、チップを併用した意欲満々のトレーニング。復帰戦が消化不良だっただけに、疲れは皆無に等しく、陣営も馬もやる気満々だ。文字通り、ガラリ一変が期待できる。
本年よりJCダートの舞台は、阪神の1800メートルにかわったが、同距離は3戦3勝。しかも、1秒2、1秒4、1秒8という大差で圧勝続き。ちなみに、2年前のフェブラリーSは、後続を0秒5突き放してダ1600メートル1分34秒9をマーク。昨年のヴァーミリアンのフェブラリーSは1分35秒3だから、マイルの記録では現役最強といわれる同馬を上回っている。
2000メートルを超える距離では、平均ラップに強いヴァーミリアンが上かもしれないが、カネヒキリは本質的にはマイルをベースに、1800メートル前後がベストの切れ味勝負の差し馬。しかも、米国馬ティンカップチャリスト、フロストジャイアンツあたりは、芝並みのハイラップが当たり前の屈強の逃げ馬。これに、フリオーソ、サクセスブロッケンが絡み、ヴァーミリアンも、力任せに先行馬を急追。ひと呼吸置いて仕掛ける差し馬カネヒキリには、絶好の展開でレースが流れそうだ。
相手本線は、ヴァーミリアンにサクセスブロッケン。極端な前掛かりで末脚を失うようなら、サンライズバッカスの差し込みまで考えておきたい。
ティンカップチャリス、マストトラックといった米国勢は、ダートシーンの層の厚さは認めるものの、本物と呼べるチャンピオンGI馬が不在。カジノドライヴも、前走、帰国後と、馬体が細く映るだけに、連下までが妥当だろう。