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大船渡・佐々木朗希、決勝戦で1球も投げず涙の終戦 登板回避の裏にあった背景とは

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 ドラフト戦線、異常アリ。令和の怪物・佐々木朗希(大船渡=3年)が岩手県決勝戦で散った。最速163キロを誇る怪物は、夏の甲子園のマウンドを経験しないまま、次のステージに進むことになった。

 「連投させたら、故障する可能性が高いとし、指導者は彼を投げさせませんでした。決して間違った判断ではありませんが…」(地元メディアの一人)

 今年4月、U-18野球・日本代表候補の強化合宿が行われた。その紅白試合で163キロを投げ、一気に“全国区の注目投手”となった。高校生時代の大谷翔平(160キロ)よりも速いのだ。しかし、これが悲劇の始まりだった。

 一部報道によれば、佐々木は岩手県大会の準決勝前(7月24日)、県高野連の医療スタッフに右肘の違和感を打ち明けていた。

 日本高等学校野球連盟(=高野連)は球児の健康管理について配慮してきた。医療スタッフが待機しているのも、その一環で、「何かおかしい」と球児の異変に気付けば、審判団にも報告することになっている。興味深いのは、佐々木自らが医療スタッフに違和感を申し出たこと。東北地区を担当する在京球団スカウトがこう続ける。

 「故障ではないと思います。疲労が出たのかな」

 佐々木は岩手県大会4試合に登板し、計435球を投げている。その4試合から右肘の違和感について探ってみた。最初は16日の2回戦でわずか19球。18日の3回戦はコールドゲームになったため、93球。中1日だが、無理をさせたとは言えるほどではない。4回戦(21日)で投じたのは194球、中2日での先発だ。しかし、4回戦から中2日経った準決勝で、129球を投げている。試合前に違和感を訴えた一戦だ。

 この試合で投げさせず、決勝戦まで様子を見て、回復したのなら、投げさせるという選択肢もあったはず。しかし、違和感を訴えた後に投げさせたということは、県高野連医療スタッフも「問題ナシ」と診断したのだろう。大船渡・国保陽平監督もまだ、「イケる」と考えたはずだ。

 「国保監督は、佐々木に剛速球で押しまくるピッチングではなく、変化球を低めに集め、打ち損じを誘う技術を習得させようとし、一時期、全力投球を禁止させました」(前出・地元メディア)

 また、大船渡は公立校であり、令和の怪物と他部員を差別しない指導も続けてきた。そんな怪我防止に気を配り、集団生活の教育を続けてきた指導者が、違和感を訴えた準決勝で佐々木を投げさせ、翌日の決勝戦で登板させなかった真相が見えてきた。

 ある学校関係者によれば、国保監督はU-18強化合宿から帰って来た佐々木を病院に連れて行ったそうだ。精密検査を受けさせ、その結果を見て、指導方針を決めたという。

 「国保監督が気に掛けたのは『骨密度』の数値でした。佐々木はまだオトナの体になっていません。骨密度の検査結果、佐々木はまだ身長の伸びる体だと分かり、無理をさせたらすぐに怪我をする、怪我のしやすい体と分かったんです」

 要するに、医学的根拠を持って、連投はさせないと決めていたようだ。

 先のプロ野球スカウトがこう言う。

 「U-18強化合宿後の精密検査の話は、聞いていました。成長過程にある体が1年や2年で変わるわけではありません。佐々木は10年に一人の逸材ですが、『即戦力ではない』と評価を変えた方が良さそうですね。プロのペナントレースで先発ローテーションが務まる体にはなっていません」

 岩手県大会の公式パンフレットを見ると、佐々木の身長は190センチと書いてあった。「まだ伸びるのかよ!?」と思ってしまったが、体の大きさだけでは判断できないものがあるようだ。(スポーツライター・飯山満)

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