公演開始後、劇場があるドン・キホーテの建物を、劇場裏手の少し離れた場所から独りで見上げていた中国地方から来た30代前半の会社員男性へ「卒業」について、「あっちゃんがいない選抜はイメージできない」としながらも、「AKBがここまで大きくなったのは、あっちゃんのおかげ。AKBの顔といえるのが前田敦子という存在。顔というのは、ある意味、矢面に立つということで、嫌なこともあっただろうし、悪口とかもすごかったですから…。でも、それを一人で全部引き受けて、笑顔で耐えてきた。『本当におつかれ様でした。今までありがとう』と心の底から言いたい」という。男性は、デビュー当時からAKB48の曲は全部知っていて、東京ドーム公演には3日間とも行き、「出待ちをしているわけではないのですが、少しでも、あっちゃんと近い場所の空気を感じていたいです。公演が終わってしまったらほんとうに卒業してしまうので、この時間が永遠に続いてほしい」と語った。
劇場の前にいた東海地方から来た20代前半の大学生や会社員のグループは、公演のチケットを入手することができなかった。「家で生中継を見るよりも、ここに来てしまいました」という。「AKB劇場は原点。今でも客席250人のこの大きさを保っているのがいい。この劇場だけは変えてはいけないし、今後もこの大きさを保ってほしい」とも。
公演を劇場やカフェで観賞したファンにも話を聞いた。関西地方と甲信越地方から来た10代後半と20代前半の女子大学生と女性会社員の3人グループは、「今日のあっちゃんは世界で一番輝いていた」と感動し、北信越地方から来た20代前半の会社員男性からは、「みんなで気持ちよく送り出すことができてよかった」との言葉が。関西地方から来た男子中学生と男子高校生の3人組は、「卒業後も、あっちゃんを絶対応援します!」と拳を握り締めた。
自ら悩み抜いた末に卒業を決めたという前田。卒業発表から数ヵ月の時間をおいたことで、ファンにも前田の卒業を受け入れる準備ができ、この日を迎えたようだ。前田卒業後のAKB48については、多くのファンが「イメージできない」と語るが、「みんないつかはAKB48を卒業しなければならない。あっちゃんが最初にその道を作った」という思いは共通しているようだ。女優という夢へ向かった前田敦子にも、前田卒業後のAKB48にも、引き続き注目だ。(竹内みちまろ)